サルバドール・アジェンデ

サルバドール・ギジェルモ・アジェンデ・ゴスセンスについて

サルバドール・ギジェルモ・アジェンデ・ゴスセンス（1908年6月26日 - 1973年9月11日）は、チリの医師であり社会主義政治家で、1970年から1973年まで同国の大統領を務めました。彼は自由選挙によって選ばれた世界初のマルクス主義者の大統領でしたが、在任中には経済問題や国内の対立が深刻化し、最終的には軍事クーデターによって命を落としました。

生い立ちと若年期

アジェンデはバルパライソのバスク系移民の家庭に生まれ、父方はフリーメーソンであり社会的教育を支持していました。母方は敬虔なカトリック教徒で、内戦では異なる側に立った家系です。彼は162歳で高校を卒業し、その後陸軍に入隊した後、チリ国立大学の医学部に進学しました。

医師から政治家へ

彼は1932年に医師としてのキャリアをスタートし、政治活動にも参加。バルパライソの医師組合での活動を通じて、医療政策に影響を与えていきました。1938年にはチリ社会党の書記長に就任し、政界での地位を確立したのです。彼の博士論文では、当時の犯罪学理論に異を唱え、社会的公正を訴えました。

大統領選出馬と就任

アジェンデは1952年、1958年、1964年の大統領選挙で敗北を喫しました。1970年の選挙では人民連合の候補として当選し、史上初のマルクス主義者の大統領として就任しました。彼は資本主義から社会主義への移行を宣言し、大規模な国有化政策や社会改革を推進しました。

政権下の政策

アジェンデ政権は「チリの社会主義への道」というスローガンの下、教育、健康、住宅における革新的な政策を実施しました。医療や教育制度の改革、無償給食や公営住宅の増加を進め、社会的平等を志向しました。しかし、経済は次第に混乱をきたし、インフレや失業が深刻化しました。

経済危機と政治的圧力

政権の初期には一定の経済成長を果たしましたが、次第に情勢が悪化。インフレや物資不足が深刻になり、国内外からの圧力が高まります。特にアメリカ政府の反発が強まり、経済戦争とも言える状況に直面しました。これに伴い、左翼と右翼の対立が激化したのです。

クーデターと死

1973年9月11日、アジェンデ政権はピノチェト将軍率いる軍事クーデターによって打倒されました。彼は最期の演説で、チリへの愛と信念を示し、逃げることを拒否して自宅の官邸で自ら命を絶ったと言われています。アジェンデの死は、チリ国内外で未だ議論の余地が多い事件です。

評価と遺産

アジェンデの政策はチリ国内で賛否が分かれています。彼を支持する左派は、アメリカ帝国主義に立ち向かった殉教者と評価する一方、保守派は混乱を招いたとして厳しく批判しています。死後もアジェンデの名は中南米や欧州の左派に支持され続け、彼にちなんだ通りや広場が設けられています。

家族

イサベル・アジェンデは彼の娘で、父の影響を受けて政治活動を続けています。彼女は1993年からチリ社会党に所属し、党首や上院議長を歴任しました。このように、アジェンデの遺産は家族や社会においても影響を与え続けています。

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