サルマン・ラシュディ刺傷事件

サルマン・ラシュディ刺傷事件

サルマン・ラシュディ刺傷事件は、2022年8月12日にアメリカ・ニューヨーク州のシャトークア研究所で発生した大変衝撃的な事件です。この日は、イギリス系アメリカ人作家であるサルマン・ラシュディが講演を行うためにステージに立っていましたが、突如として24歳の男性が襲いかかり、ラシュディを何度も刺しました。ラシュディは、同時に近くにいたシティ・オブ・アサイラムの共同設立者ヘンリー・リースと共に登壇しており、その暴行によってリースも軽傷を負いました。その後、容疑者は現場でニューヨーク州警察によって逮捕されました。

襲撃後、ラシュディはすぐにエリー近郊の病院へとヘリコプターで搬送されました。医師たちは緊急の手術を行い、彼の肝臓や片目を含む複数の臓器に深刻な損傷が見つかりました。手術後は人工呼吸器が装着され、非常に危険な状況に置かれていましたが、翌日の8月13日には人工呼吸器を外され、会話も可能になったとの報道がありました。

背景

ラシュディの著作『悪魔の詩』は、1988年に公開され、その内容がイスラム教を傷つけるとして大きな物議を醸しました。この作品は、著者にとって多くの支持を得る一方、1989年にはイランの最高指導者ルーホッラー・ホメイニーによって、「死刑」が宣告される事態に至ります。そのためラシュディは、数年間にわたり厳重な警備の下で生活を余儀なくされました。しかし、襲撃直前の数年間は、警護なしでの生活も経験していたようで、時には「普通の生活が戻った」と発言することもありました。

襲撃の詳細

襲撃は午前10時47分頃に始まり、目撃者によると、男はラシュディの腹部と首を攻撃し、周囲の人々に押さえつけられてもなお暴行を続けようとしていました。襲撃後、現場の医師たちは即座にラシュディの手当てを行い、彼を救命しました。

刺傷の状況

地元の地方検事によると、ラシュディは腹部に四カ所、首に三カ所、右目、胸、右太ももにそれぞれ一カ所ずつの傷を受けていたことが確認されています。これらの重傷に対し、ラシュディは入院中に人工呼吸器を外された後、徐々に回復の兆しを見せました。

容疑者の情報

逮捕された男はニュージャージー州に住む24歳であり、両親はレバノンから移住したとのことです。この男はSNSでイスラム革命防衛隊を支持していることを示しており、また、偽造運転免許証には殺されたヒズボラ過激派の名前が使われていたことが明らかになりました。彼の住む村では、イラン主導の武装勢力に関連するプロパガンダが広がっている様子が報じられています。

この事件は国際的な注目を集め、ラシュディに対する暴力の背景や、宗教と表現の自由の関わりについて再び議論を巻き起こすこととなりました。

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