サルムソン 2

サルムソン 2

サルムソン 2は、フランスのサルムソン社が開発した偵察および軽爆撃機で、そのデザインは単発複葉複座の形態を取っています。第一次世界大戦において、この機体はブレゲー 14と共にフランスの主力偵察機の一つとして広く使用されました。

概要

本機は、ソッピース1½ ストラッターおよびドゥラン A.R.の後継機として位置づけられています。1917年4月29日に初飛行し、その後10月から部隊への配備が始まりました。生産はおおよそ3,200機に及び、うち2,200機がサルムソン社製で、残りはラテコエールやアンリオなどで製造されました。また、一部は複操縦が可能な練習機の2D2としても展開されました。

機体の設計は、垂直尾翼と水平尾翼がすべて動くオールフライングテールで、優れた機動性を誇ります。しかし、操縦士と機銃手の間に距離があったため、意思疎通が難しかったという課題もありました。性能向上型の設計も予定されていましたが、戦争の終結に伴い、計画はすべてキャンセルされました。

フランスにおける制式採用に加え、アメリカ派遣軍によって700機が購入され、戦後はチェコスロバキアやポーランドなどでも使用されました。また日本でもライセンス生産が行われました。

日本での運用

1919年にフォール教育団によって日本に導入されたサルムソン 2は、陸軍によってサ式二型偵察機として制式採用されました。1921年には51機が輸入され、乙式一型偵察機と改称されました。国内での国産化が進められ、1920年には国産1号機が完成し、以後約300機が生産されました。エンジンのライセンスも取得されましたが、機体のライセンスは取得できず、そのためサルムソン社から特許権侵害で抗議されました。最終的には、川崎が仲介役となり両者は和解しました。

また、川崎造船所では約300機の生産が行われたとされますが、これには疑問の声もあります。川崎は、乙式一型のベース機を基にした派生機である7A2も輸入し、自社で性能向上型を試作しましたが、陸軍の採用には至りませんでした。

サルムソン 2は1928年まで主力として活躍し、1933年頃まで前線部隊で使用されました。満州事変や第一次上海事変でも一部が参加しました。役割を終えた後、多くの機体が民間に払い下げられ、飛行学校や新聞社で使われました。

1933年には、女性初の日本海横断飛行に挑戦した朴敬元が払い下げられたサルムソン機で事故に遭い、命を落とす悲劇も起きました。また、1935年には八戸で発生した事故により3名が死亡しました。

性能諸元

• - 全長：8.50 m
• - 全幅：11.75 m
• - 全高：2.90 m
• - 自重：780 kg
• - 全備重量：1,290 kg
• - 発動機：サルムソン9Za 水冷星型9気筒 230 hp
• - 最大速度：188 km/h
• - 上限高度：6,250 m
• - 航続距離：500 km
• - 武装：7.7mm機銃×1（前方固定）、7.7mm機銃×1（後方旋回）
• - 乗員：2名

現存する機体

岐阜かかみがはら航空宇宙博物館には、乙式一型偵察機の復元機が展示されています。

関連項目

• - [偵察機]]・哨戒機の一覧
• - [川崎重工業 歴史
• - かかみがはら航空宇宙科学博物館展示機紹介

もう一度検索