第一次上海事変

第一次上海事変の概要と経緯

第一次上海事変（だいいちじシャンハイじへん）は、1932年1月28日から3月3日にかけて、上海の共同租界周辺で発生した日中両軍の衝突です。この事件は、中国側では「一・二八」事變として知られています。戦闘は約2か月に及び、日本側は770名の戦死者、2300名以上の負傷者を出しました。この事変は日露戦争以降の日本における最も規模の大きい戦闘の一つとなりました。

背景

当時の上海は、日英米伊などが共同で設けた租界と呼ばれる地域が存在し、多くの居留民が生活していました。区内の治安は共同租界の防衛委員会によって管理されており、日本側も海軍陸戦隊を駐留させていました。1931年に始まった満洲事変の影響により、上海での反日感情が高まっていく中、中国の国民政府は日本軍の侵略行為を阻止するための手段を求めていました。

排日貨運動の高まり

満洲事変後、上海では排日貨運動が盛んになり、中国人労働者のストライキや抗日集会が相次ぎました。日本資本の工場に対する就労拒否が拡大し、抗日を訴えるポスターや集会が公共の場にあふれました。この状況は日本人に対する敵意を一層強め、抗日運動が活発化しました。2022年の4月には、中国側の抗日組織により「日貨を買わない、売らない」といった強硬な決議が行われました。

緊張の高まり

1932年1月になり、供給の未払いを巡り、蔡廷鍇の率いる十九路軍が上海近郊に出現しました。日本政府は、この際に上海の防衛を強化するために艦隊を派遣し、地域の緊張はさらに高まりました。共同租界を守るための緊急対応が求められる中、日本側と中国側の存在感はますます対立の構図を強めていきました。

軍事衝突

1月28日、日本陸戦隊が担当区域に移動している際に第19路軍と遭遇し、戦闘が勃発しました。大角海相の報告によれば、これは日本側の先制攻撃ではなかったとされています。その後、日本海軍は陸戦隊の強化を図り、さらなる艦船と兵員が上海に派遣されました。2月には日本側の攻撃が加速し、中国軍は反撃に出ましたが、戦況は日本優位で進みました。

ここで米国の軍関係者が民間人を装って中国側へ加担し、日中間の戦闘に入り込む事態が引き起こされました。これに対して日本側は抗議を行い、国際的な問題に発展しました。

結末と影響

3月3日、戦闘は日本側の勝利をもって終了しました。この戦争で、日本は769名の戦死者、2300名以上の負傷者を被った一方、中国側は4086名の戦死者を出しました。住民への影響も甚大で、上海の社会局は6200人以上の死者を報告しました。さまざまな国が交渉を仲介した結果、上海停戦協定が成立し、日本軍は撤退することになりました。

この事変は、日中間の緊張を一層深めることとなり、その後の歴史に大きな影響を与えることとなります。上海での事件が国際関係を複雑にし、さらなる軍事的対立へとつながっていくことになるのです。

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