サルヴァトーレ・ダキーラ

サルヴァトーレ・ダキーラ

サルヴァトーレ・ダキーラ（Salvatore "Toto" D'Aquila）は、1878年にシチリア島パレルモで生まれ、1928年にニューヨークで命を落としたマフィアのボスです。ダキーラはニューヨークのマフィアネットワークを形成し、灰色の世界での存在感を示しました。彼は表向き貿易商を名乗りつつ、実際には裏社会での権力を築いていった人物です。

初期の人生

ダキーラは1906年にアメリカに渡り、マンハッタンのイースト・ハーレムで生活を始めました。貿易業者としてオリーブオイルやチーズを輸入しながらも、早くから詐欺で逮捕されるなど、法の網を掻い潜ることに長けていました。彼はすぐにパレルモ派閥を引き連れ、ニューヨークでの勢力を強化していきます。

派閥争い

1900年代初頭、ダキーラのマフィアサークルは急速に成長しました。1910年には、仲間のジュゼッペ・モレロが監獄に送られたことで、ダキーラは「ボスの中のボス」に選ばれ、自身の組織のリーダーシップを確立しました。しかし、彼は他派閥との争いに巻き込まれ、モレロ一家の残党とハーレムの覇権を巡って熾烈な抗争を繰り広げます。抗争の末、1913年にはモレロ一家のリーダーたちが暗殺され、ダキーラは次第に勢力を増していきました。

臨海地区の拠点

1916年、ダキーラはブルックリンへ拠点を移し、ウォーターフロントでのポジションを強化しました。彼は敵勢力の崩壊を受けてカモッラの残党を取り込み、地域での影響力を拡大しました。また、ハーレムやロウアー・イースト・サイドにおいても傀儡ボスを立てて間接的に支配を行いました。ダキーラの組織は、アメリカ北東部全体に広がり、他の都市のマフィアとも連携を深めることになります。

密輸抗争と暗殺

1920年代には、ダキーラと旧友のモレロの関係が緊張し、密輸の縄張り争いが勃発しました。殺し合いは激化し、数十人が命を落とす結果となります。特に1922年には、モレロの支持を得たジョー・マッセリアとの抗争も勃発しましたを受け、次第に彼の勢力は弱体化していきます。

最期

1928年10月10日、ダキーラはマンハッタンで襲撃され、暗殺されます。彼の死はマフィアの権力闘争を激化させ、アル・ミネオが新たなボスへと就任することにつながります。この事件は続くカステランマレーゼ戦争の引き金ともなり、後のニューヨークマフィアの運命を大きく変えるものでした。

影響と評判

ダキーラは、シチリア系移民の中から登場した初期のマフィアボスとして重要な存在でした。リーダーシップの下では暗殺や脅迫、密輸を繰り返し、裏社会において強い影響力を保持していました。彼の策略と冷酷さは後のマフィアの権力構造に多大な影響を与え、ガンビーノ一家の源流ともいわれています。彼の息子がガンビーノ一家に参加したことからも、その影響力の継続性が伺えます。ダキーラの活動は歴史的に多くの知見を提供し、今なおマフィア研究において重要な参考となっています。

もう一度検索