サンキュー・ガール

サンキュー・ガール：ビートルズの隠れた名曲

1963年4月、ビートルズのシングル「フロム・ミー・トゥ・ユー」のB面として世に出た「サンキュー・ガール」。この曲は、ジョン・レノンとポール・マッカートニーによって書かれ、女性ファンへの感謝の気持ちを込めた作品として知られています。

制作背景：ファンへの感謝の気持ち

当初のタイトルは「Thank You, Little Girl」で、レノンとマッカートニーは熱狂的な女性ファンへの感謝の思いを込めてこの曲を制作しました。マッカートニーは、この曲でファンへの感謝を直接伝えられたと語っており、彼らの初期の音楽活動とファンの熱狂的な支持が深く結びついていたことを示しています。楽曲の歌詞は、レノンが各節の最初のフレーズを作り、マッカートニーが巧みな言葉遊びと韻を踏むことで完成に導いたと、音楽評論家のイアン・マクドナルドは推測しています。レノン自身は、この曲をシングルとして構想していたものの、結果としてB面曲となり、アルバム収録もイギリス盤では長らく待ち望まれることになりました。

レコーディング：EMIスタジオでの作業

「サンキュー・ガール」は1963年3月5日、EMIレコーディング・スタジオで13テイクのレコーディングを経て完成しました。このセッションでは、「フロム・ミー・トゥ・ユー」の他に、「ワン・アフター・909」や「消えた恋」の初期バージョンも録音されています。3月13日には、レノンのハーモニカのパートがオーバーダビングされ、モノラルとステレオミックスが作成されました。さらに、1963年6月19日にはBBCラジオの番組『Easy Beat』用にプレイハウス・シアターで演奏が録音され放送されました。この演奏は、『ザ・ビートルズ・ライヴ!! アット・ザ・BBC』にも収録されています。

リリースとチャート成績：アメリカでの成功

イギリスでは「フロム・ミー・トゥ・ユー」のB面として1963年4月11日にリリースされました。しかし、アルバム収録は1978年の『レアリティーズ』まで待たなければなりませんでした。一方アメリカでは、同じシングルB面としてリリースされた後、「ドゥ・ユー・ウォント・トゥ・ノウ・ア・シークレット」のB面としてもリリースされ、Billboard Hot 100で35位を記録するなど、B面曲ながら大きな成功を収めました。アメリカでは1964年のキャピトル編集盤『ザ・ビートルズ・セカンド・アルバム』に収録され、このアルバムに収録されたステレオミックスは、エコーと低音域の強調が加えられた独自のミックスで、イギリスでは未発表のままとなっています。

参加メンバーとクレジット

ジョン・レノン：ボーカル、リズムギター、ハーモニカ
ポール・マッカートニー：ハーモニー・ボーカル、ベース
ジョージ・ハリスン：リードギター
リンゴ・スター：ドラム

カバーバージョン

近年でも、「サンキュー・ガール」は様々なアーティストによってカバーされています。例えば、スミザリーンズは2008年のカバーアルバム『B-Sides the Beatles』に収録しています。

まとめ

「サンキュー・ガール」は、ビートルズの初期作品を語る上で欠かせない楽曲です。ファンへの感謝の気持ち、レコーディング過程、そしてアメリカでの意外な成功など、その歴史は多岐に渡り、彼らの音楽性の一端を垣間見ることができる、魅力的な一曲と言えるでしょう。B面曲という位置付けでありながらも、そのクオリティの高さ、そしてアメリカでのチャート成功は、ビートルズの潜在能力の高さを改めて示すものです。彼らの初期の音楽性、レコーディング手法、そして商業的な成功を理解する上で重要な楽曲であると言えるでしょう。

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