サンゴジュ

サンゴジュ（珊瑚樹）

サンゴジュ（学名: Viburnum odoratissimum）は、ガマズミ科に属する常緑高木です。美しい赤い実をつけ、庭木や生垣として親しまれています。ここでは、サンゴジュの生態、特徴、利用法について詳しく解説します。

名称の由来

和名であるサンゴジュは、秋に熟す赤い実が珊瑚のように見えることに由来します。また、別名としてアワブキ（泡吹き）という名前も持っています。これは、木を燃やすと泡が吹き出ることに由来すると言われています。

分布

サンゴジュは、日本、朝鮮半島南部、台湾、フィリピン、インドシナ、インドネシア、インドなど、比較的温暖な地域に分布しています。日本では、関東地方南部以西の海岸沿いに多く見られます。

形態・生態

サンゴジュは、高さ10メートル以上に成長する常緑高木です。樹形は整った長円錐形をしており、樹皮は灰褐色で滑らかです。若い枝には皮目が多く見られます。

葉は長楕円形で、長さは10-20cm程度。光沢のある革質で、濃い緑色をしています。葉の縁には小さな鋸歯があります。若葉は褐緑色から褐色をしていますが、夏には淡緑色、冬には濃緑色へと変化します。

花期は初夏（6-7月頃）で、小枝の先端に円錐花序をつけ、小さな白い花を多数咲かせます。果実は液果で、長さ7-8mmの楕円形。秋に赤く熟し、やがて黒っぽい色に変化します。

冬芽は長楕円形で、淡緑褐色の芽鱗に包まれています。

栽培

サンゴジュは、日向から日陰まで様々な環境で栽培可能です。土壌もあまり選びませんが、適湿地を好みます。植栽の適期は3-4月上旬、または6-7月、9-10月上旬です。剪定は3-4月、6月下旬-7月、9月下旬-10月下旬に行います。施肥は1-2月と9月に行うのがおすすめです。

人間との関わり

サンゴジュは、庭木や公園樹として広く植えられています。また、防火・防風・防音の効果があるため、防火樹や防風樹としても利用されます。刈り込みに強く、生垣にも適しています。

沖縄県では、かつて魚毒植物として利用されていた歴史もあります。現在では、横浜市、大東市、防府市の市の木として親しまれています。

化学成分

サンゴジュには、ビブサニンAやBをはじめとするビブサン型ジテルペノイドが多数含まれています。

サンゴジュは、その美しい姿と多様な利用価値から、人々に愛されてきた樹木です。庭木としてだけでなく、環境保護の面でも重要な役割を果たしています。

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