サンシチソウ属

サンシチソウ属（学名：Gynura）は、キク科に分類される植物の一群で、約40種が知られています。学名であるGynuraは、ギリシャ語の「gyne（めす）」と「oura（しっぽ）」を組み合わせたもので、これは雌しべのように見える管状花が長く伸び、まるで動物の尾のように見えることに由来します。

分布

サンシチソウ属は、アジアからアフリカにかけての熱帯・亜熱帯地域に広く分布しており、特に東南アジアに多く見られます。日本にもサンシチソウ（Gynura japonica）が自生していますが、これは江戸時代に薬草として持ち込まれ、その後帰化したものです。種小名の「japonica」は「日本産の」という意味ですが、原産地は日本ではありません。

形態

サンシチソウ属の植物は、草丈が50〜100cm程度の常緑または宿根草です。葉は互い違いに生え（互生）、羽状に深く切れ込んでいるのが特徴です。また、葉の縁には不揃いな鋸歯が見られることもあります。多くの種で葉や茎が多肉質で水分を多く含んでいます。花は夏から秋にかけて咲き、茎の先に単独で、または数輪が散形に集まって咲きます。花の色は黄色です。

主な種

サンシチソウ属には、以下のような種が含まれます。

ビロードサンシチ（Gynura aurantiaca）
スイゼンジナ（Gynura bicolor）
Gynura divaricata
タカサゴサンシチソウ（Gynura divaricata subsp. formosana）
コウトウスイゼンジナ（Gynura elliptica）
サンシチソウ（Gynura japonica）

利用

サンシチソウ属の一部の種は、食用や薬用として利用されています。スイゼンジナ（水前寺菜）は、沖縄県や石川県などで伝統野菜として栽培されており、独特の風味と栄養価が特徴です。また、サンシチソウは、かつては民間薬として用いられていました。ただし、利用にあたっては専門家の指導を受けることが重要です。

サンシチソウ属の植物は、その多様な形態や生態、そして利用価値において、人々の生活と深く関わってきた植物であると言えるでしょう。

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