サンセット大通り (映画)

映画『サンセット大通り』の概要

『サンセット大通り』（原題: Sunset Boulevard）は、1950年に公開されたアメリカのドラマ映画で、ビリー・ワイルダーが監督を務めた作品です。この映画は、サイレント映画の時代を代表する大女優が、自らの過去の栄光に執着し、その代償として起こる悲劇を描いたフィルム・ノワールの傑作として評価されています。物語はロサンゼルス郊外の豪邸で展開され、華やかさの裏側に潜む暗い影を鮮やかに描写しています。

映画は公開当初から注目を集め、アカデミー賞において11部門にノミネートされましたが、同年の同ジャンルの作品『イヴの総て』と競い、最終的に3部門で受賞にとどまりました。それでも、本作は今やアメリカ映画の金字塔とされ、1989年にはアメリカ国立フィルム登録簿に初めて登録された映画の一つでもあります。

あらすじ

物語は、ある屋敷のプールで脚本家ジョー・ギリスの死体が発見されるところから始まります。ジョーはかつての名声を失った女優ノーマ・デズモンドに出会い、彼女のゴーストライターとして生活を共にすることになります。ノーマはサイレント映画時代のスターであり、彼女の復帰を夢見て脚本を練り直す作業をジョーに強要します。彼女の精神状態は不安定であり、過去の栄光に固執しています。

貧困にあえぐジョーは、ノーマの要求に応じることになりますが、徐々にノーマに魅了されていきます。ノーマの愛情は日に日に増し、彼女はその感情をジョーに依存させていく一方で、ジョーは逃げたい気持ちも抱えています。しかし、ノーマの自殺未遂を経て、二人は否応なく深入りしていく運命にあります。

やがて、ジョーは別の若い脚本家ベティ・シェーファーと出会い、彼女との共同制作を通じて新たな感情を抱くようになります。だが、ノーマもこの関係に気づき、次第に嫉妬から悲劇的な結末を迎えることになります。結局、ノーマはジョーに対する独占的な気持ちから、ついに彼を射殺します。

登場人物

ノーマ・デズモンド

演じるのはグロリア・スワンソン。サイレント映画の代表的な女優で、過去の栄光に執念を燃やすキャラクター。ハリウッドの復帰を夢見るものの、現実に目を向けられずにいます。

ジョー・ギリス

ウィリアム・ホールデンが演じる主人公。売れない脚本家で、借金に追われながらノーマとの関係を築いていきます。一見、ノーマによって救われたように見えますが、実際には彼女に翻弄される運命を辿ります。

マックス

エリッヒ・フォン・シュトロハイムが演じるノーマの忠実な召使。彼女の過去を支える存在として重要な役割を担います。

ベティ・シェーファー

ナンシー・オルソンが演じる若手の脚本家。ノーマとの関係に苦しむジョーに新たな視点を提供します。

制作背景と評価

この映画の脚本は、ビリー・ワイルダーとチャールズ・ブラケットが手がけ、ノーマというキャラクターを中心にした物語は、ハリウッドの現実を鋭く風刺しています。豪邸の内部や当時の映画業界の内幕が巧妙に描かれ、観る人を引き込む力があります。登場人物たちを演じるサイレント映画の大物たちが、実際の役者自身である点もリアリティを増しています。

『サンセット大通り』は、その後の映画界に多大な影響を与え、そのテーマやキャラクターは今なお多くの作品に影響を与え続けています。歴史に名を刻む名作として、映画史上に燦然と輝く作品です。

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