イヴの総て

映画『イヴの総て』の魅力

『イヴの総て』は、1950年にアメリカで公開された映画であり、この作品はジョセフ・L・マンキーウィッツが監督および脚本を手がけました。原作はメアリー・オアの短編小説「The Wisdom of Eve」です。この映画は、実在の女優エリザベート・ベルクナーをモデルにしており、当時のブロードウェイの裏側をリアルに描写している点が高く評価されています。

この作品はアカデミー賞で作品賞を含む6つの部門で栄冠を獲得しました。その中でも監督賞と脚本賞は、マンキーウィッツが2年連続で受賞したことが注目されます。彼は前年度も『三人の妻への手紙』で同じく二冠を達成しており、これにより彼の功績は特異なものであることが示されています。また、カンヌ国際映画祭でも審査員特別賞と女優賞を受賞しており、国際的にもその評価は揺るぎないものでした。

キャスティングと制作の裏側

本作のマーゴを演じる予定だったのはクローデット・コルベールでしたが、彼女が怪我により降板したため、ベティ・デイヴィスがこの役を引き受けました。デイヴィスの演技は非常に印象的で、映画史に残る代表作の一つとなりました。さらに、無名時代のマリリン・モンローが新人女優の役で出演しており、彼女の後の成功と関連づけられて評価されることも多いです。

当初、デイヴィスと共演のアン・バクスターも助演賞にノミネートされたものの、票が割れたために二人とも受賞を逃すという皮肉な結果に終わりました。このように、作品は実際の業界の競争の厳しさを映し出しているのです。

ブロードウェイミュージカルへの展開

1970年には、この映画を基にしたブロードウェイミュージカル『アプローズ』が上演されました。このミュージカルは非常に成功を収め、トニー賞の主要5部門を受賞。その初演のマーゴ役はローレン・バコールが演じ、彼女はミュージカル初出演でありながらも主演女優賞を獲得しました。興味深いことに、映画でイヴ役を演じたアン・バクスターは、わずか1年でマーゴ役を引き継ぎ、キャスト間のドラマが展開されました。

また、1972年には劇団四季によって日本でも公演が行われ、多くの観客に感動を与えました。

あらすじ

物語の中心となるのは、アメリカ演劇界で権威のあるセイラ・シドンス賞を受賞する新進女優イヴ・ハリントンです。イヴは田舎から上京し、大女優マーゴの付き人として働き始めます。彼女はマーゴのファンを自称し、徐々に彼女の周囲に取り入っていきます。しかし、イヴは次第に巧妙に本性を現し、マーゴが舞台に出られないときに代役として飛躍のチャンスを掴みます。それをきっかけに、彼女は次第に周囲の権力者に取り入り、最終的にはマーゴを踏み台にしてスター女優としての道を歩み始めるのです。

この映画は、栄光を求める人々の暗い欲望がどのように人間関係を壊していくのかを鋭く描き出しており、多くの観客に衝撃を与え続けています。細部まで丁寧に描かれたストーリーと、演技の素晴らしさで観る者を引き込むこの作品は、映画ファンにとっての必見の名作と言えるでしょう。

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