サンタクロースが歌ってくれた
『サンタクロースが歌ってくれた』は、劇団キャラメルボックスが上演するクリスマスを題材とした舞台作品で、成井豊が原作、脚本、演出を手掛けています。1989年の初演以来、1992年、1997年、2010年、2021年と再演を重ねており、その人気は長く続いています。
この作品の特徴は、主要人物である芥川、太郎、警部の3役を、初演から長らく西川浩幸、上川隆也、近江谷太朗が演じている点です。特に上川隆也は、1997年から13年間上演が途絶えていた時期に、自ら再演を提案したことで、2010年の4回目の再演に繋がりました。2010年には、オリジナルキャストとは別に、アナザーキャスト版も上演され、大内厚雄、岡田達也、阿部丈二が3役を演じました。
1997年の再演では、当初予定していた『さよならノーチラス号』が、成井豊の急病により上演中止となり、急遽3週間で『サンタクロースが歌ってくれた』が上演されました。また、1990年には成井自身がノベライズしており、小説版の設定はラジオドラマ版に近いものとなっています。
物語は、クリスマス・イブに映画を観に行く約束をしたゆきみとすずこの会話から始まります。ゆきみが誘う映画は『ハイカラ探偵物語』。大正時代のクリスマス・イブを舞台に、怪盗黒蜥蜴の予告状が届いた華族の有川家で、探偵役を依頼された小説家・芥川が、友人・太郎とともに事件に挑むという物語です。しかし、すずこはこの映画の原作小説を「つまらない」と評します。それでもゆきみは、好きな俳優が芥川役で出演していることを理由に、すずこを映画に誘います。
映画のクライマックスシーンで、芥川は犯人の名前を言おうとしますが、その場にいるはずの黒蜥蜴が忽然と姿を消してしまいます。厳重に警備された部屋から逃げ出すことは不可能。その状況に焦る登場人物たちでしたが、芥川は突然、黒蜥蜴が「銀幕の外」に逃げたと告げます。そして、芥川、太郎、警部は銀幕から飛び出し、映画館にいたゆきみとともに黒蜥蜴を追いかけることになります。
一方、原作小説を読み返していたすずこは、遅れて映画館に到着したところで、映画から出てきたという女性とぶつかります。その女性は、原作小説の犯人がメイドのミツであることに対し、真犯人は別にいると告げます。その女性こそ、映画の中から飛び出したミツでした。
ゆきみ: 映画の観客で、芥川役の俳優のファン。
すずこ: ゆきみの友人。芥川龍之介のファン。
芥川: 『ハイカラ探偵物語』の主人公。本名:芥川龍之介。25歳。探偵役を依頼されるが、設定である大正時代よりも後の記憶は持っていない。
太郎: 『ハイカラ探偵物語』のもう一人の主人公。本名:平井太郎、後の江戸川乱歩。22歳。芥川の友人。
警部: 捜査一課の警部。突拍子もない言動が多い。
サヨ: 有川家の令嬢。本名:有川小夜子。芥川に探偵役を依頼する。
フミ: サヨの友人で、芥川の婚約者。本名:塚本文、後の芥川文。
ハナ: 有川家のメイド。
ミツ: 有川家のメイドで、原作小説・映画ともに黒蜥蜴の正体とされている。
巡査: 警部の部下。
奥様: サヨの母親。本名:有川清子。
監督: 映画『ハイカラ探偵物語』の監督。
過去の公演では、以下のようなキャストで上演されています。
1989年初演: ゆきみ - 大森美紀子、すずこ - 石川寛美、芥川 - 西川浩幸、太郎 - 上川隆也、警部 - 近江谷太朗、他
1992年再演: ゆきみ - 大森美紀子、すずこ - 石川寛美、芥川 - 西川浩幸、太郎 - 上川隆也、警部 - 近江谷太朗、他
1997年再々演: ゆきみ - 岡田さつき、すずこ - 坂口理恵、芥川 - 西川浩幸、太郎 - 上川隆也、警部 - 近江谷太朗、他
2010年再々々演: 芥川 - 西川浩幸、太郎 - 上川隆也、警部 - 近江谷太朗、ゆきみ - 温井摩耶、すずこ - 前田綾、他
2010年アナザーキャスト版: 芥川 - 大内厚雄、太郎 - 岡田達也、警部 - 阿部丈二、ゆきみ - 井上麻美子、すずこ - 小林千恵、他
2021年再々々々演: 芥川 - 多田直人、太郎 - 畑中智行、警部 - 阿部丈二、ゆきみ - 森めぐみ、すずこ - 林貴子、他
タイトル: サンタクロースが歌ってくれた
著者: 成井豊（1990年、主婦と生活社 宙ブックス）
青春アドベンチャーで1993年12月に全10回で放送されました。脚本は吉田玲子。舞台版とは異なり、登場人物がワープロから飛び出すという設定で、劇中劇の登場人物は高校生たちが演じているという設定です。また、舞台版の初演キャストの名前が役名に使われているのも特徴です。上川隆也はラジオドラマにも続投しています。
あらすじ: 高校教師で演劇部顧問の成井が脚本を執筆中に、ワープロから龍之介と近江谷警部の声が聞こえてきます。また、すずこは同級生のみつよに似たミツと出会い、彼女を成井の家へ連れていくことになります。
キャスト: 龍之介/西川 - 渡辺いっけい、太郎/上川 - 上川隆也、近江谷警部/近江谷先生 - 田山涼成、他
青春アドベンチャー『サンタクロースが歌ってくれた』(2010年再放送)
演劇集団キャラメルボックス『サンタクロースが歌ってくれた』(1997年、再々演)
演劇集団キャラメルボックス『サンタクロースが歌ってくれた』(2010年、再々々演)
演劇集団キャラメルボックス『サンタクロースが歌ってくれた』アナザーキャスト(2010年)
概要
この作品の特徴は、主要人物である芥川、太郎、警部の3役を、初演から長らく西川浩幸、上川隆也、近江谷太朗が演じている点です。特に上川隆也は、1997年から13年間上演が途絶えていた時期に、自ら再演を提案したことで、2010年の4回目の再演に繋がりました。2010年には、オリジナルキャストとは別に、アナザーキャスト版も上演され、大内厚雄、岡田達也、阿部丈二が3役を演じました。
1997年の再演では、当初予定していた『さよならノーチラス号』が、成井豊の急病により上演中止となり、急遽3週間で『サンタクロースが歌ってくれた』が上演されました。また、1990年には成井自身がノベライズしており、小説版の設定はラジオドラマ版に近いものとなっています。
あらすじ
物語は、クリスマス・イブに映画を観に行く約束をしたゆきみとすずこの会話から始まります。ゆきみが誘う映画は『ハイカラ探偵物語』。大正時代のクリスマス・イブを舞台に、怪盗黒蜥蜴の予告状が届いた華族の有川家で、探偵役を依頼された小説家・芥川が、友人・太郎とともに事件に挑むという物語です。しかし、すずこはこの映画の原作小説を「つまらない」と評します。それでもゆきみは、好きな俳優が芥川役で出演していることを理由に、すずこを映画に誘います。
映画のクライマックスシーンで、芥川は犯人の名前を言おうとしますが、その場にいるはずの黒蜥蜴が忽然と姿を消してしまいます。厳重に警備された部屋から逃げ出すことは不可能。その状況に焦る登場人物たちでしたが、芥川は突然、黒蜥蜴が「銀幕の外」に逃げたと告げます。そして、芥川、太郎、警部は銀幕から飛び出し、映画館にいたゆきみとともに黒蜥蜴を追いかけることになります。
一方、原作小説を読み返していたすずこは、遅れて映画館に到着したところで、映画から出てきたという女性とぶつかります。その女性は、原作小説の犯人がメイドのミツであることに対し、真犯人は別にいると告げます。その女性こそ、映画の中から飛び出したミツでした。
登場人物
ゆきみ: 映画の観客で、芥川役の俳優のファン。
すずこ: ゆきみの友人。芥川龍之介のファン。
芥川: 『ハイカラ探偵物語』の主人公。本名:芥川龍之介。25歳。探偵役を依頼されるが、設定である大正時代よりも後の記憶は持っていない。
太郎: 『ハイカラ探偵物語』のもう一人の主人公。本名:平井太郎、後の江戸川乱歩。22歳。芥川の友人。
警部: 捜査一課の警部。突拍子もない言動が多い。
サヨ: 有川家の令嬢。本名:有川小夜子。芥川に探偵役を依頼する。
フミ: サヨの友人で、芥川の婚約者。本名:塚本文、後の芥川文。
ハナ: 有川家のメイド。
ミツ: 有川家のメイドで、原作小説・映画ともに黒蜥蜴の正体とされている。
巡査: 警部の部下。
奥様: サヨの母親。本名:有川清子。
監督: 映画『ハイカラ探偵物語』の監督。
キャスト
過去の公演では、以下のようなキャストで上演されています。
1989年初演: ゆきみ - 大森美紀子、すずこ - 石川寛美、芥川 - 西川浩幸、太郎 - 上川隆也、警部 - 近江谷太朗、他
1992年再演: ゆきみ - 大森美紀子、すずこ - 石川寛美、芥川 - 西川浩幸、太郎 - 上川隆也、警部 - 近江谷太朗、他
1997年再々演: ゆきみ - 岡田さつき、すずこ - 坂口理恵、芥川 - 西川浩幸、太郎 - 上川隆也、警部 - 近江谷太朗、他
2010年再々々演: 芥川 - 西川浩幸、太郎 - 上川隆也、警部 - 近江谷太朗、ゆきみ - 温井摩耶、すずこ - 前田綾、他
2010年アナザーキャスト版: 芥川 - 大内厚雄、太郎 - 岡田達也、警部 - 阿部丈二、ゆきみ - 井上麻美子、すずこ - 小林千恵、他
2021年再々々々演: 芥川 - 多田直人、太郎 - 畑中智行、警部 - 阿部丈二、ゆきみ - 森めぐみ、すずこ - 林貴子、他
小説
タイトル: サンタクロースが歌ってくれた
著者: 成井豊（1990年、主婦と生活社 宙ブックス）
ラジオドラマ
青春アドベンチャーで1993年12月に全10回で放送されました。脚本は吉田玲子。舞台版とは異なり、登場人物がワープロから飛び出すという設定で、劇中劇の登場人物は高校生たちが演じているという設定です。また、舞台版の初演キャストの名前が役名に使われているのも特徴です。上川隆也はラジオドラマにも続投しています。
あらすじ: 高校教師で演劇部顧問の成井が脚本を執筆中に、ワープロから龍之介と近江谷警部の声が聞こえてきます。また、すずこは同級生のみつよに似たミツと出会い、彼女を成井の家へ連れていくことになります。
キャスト: 龍之介/西川 - 渡辺いっけい、太郎/上川 - 上川隆也、近江谷警部/近江谷先生 - 田山涼成、他
参考
青春アドベンチャー『サンタクロースが歌ってくれた』(2010年再放送)
演劇集団キャラメルボックス『サンタクロースが歌ってくれた』(1997年、再々演)
演劇集団キャラメルボックス『サンタクロースが歌ってくれた』(2010年、再々々演)
演劇集団キャラメルボックス『サンタクロースが歌ってくれた』アナザーキャスト(2010年)
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