サンタポリナーレ・ヌオヴォ聖堂

サンタポリナーレ・ヌオヴォ聖堂：ラヴェンナの歴史を彩るモザイクの宝庫

サンタポリナーレ・ヌオヴォ聖堂は、イタリアのラヴェンナに位置する、初期キリスト教建築の傑作として名高いバシリカ様式の教会堂です。この聖堂は、東ゴート王国の王であったテオドリックによって、自身の宮廷に隣接して建設されました。特筆すべきは、その内部を飾る息をのむほどに美しいモザイク画の数々です。これらのモザイクは、アリウス派の聖堂としての起源を示す貴重な遺産でもあります。

歴史

建設時期は、ラヴェンナにおける初期キリスト教建築活動の第二期にあたり、アリウス派洗礼堂とほぼ同時期と考えられています。サン・ヴィターレ聖堂などと共に、「ラヴェンナの初期キリスト教建築群」としてユネスコの世界遺産に登録され、その文化的価値は世界的に認められています。

他のラヴェンナの教会堂と同様に、サンタポリナーレ・ヌオヴォ聖堂の建設に関する詳細は多くが謎に包まれています。元々は聖アポリナリスに捧げられたものではなく、テオドリックが王宮の隣に490年頃に建設した、典型的なバシリカ式教会堂でした。テオドリック自身を含むゴート族はアリウス派に属しており、この聖堂もアリウス派の聖堂として建てられたと考えられています。

9世紀の歴史家アグネルスによると、540年にラヴェンナが東ローマ帝国に再編入された際、ユスティニアヌス1世はアリウス派の聖堂を没収し、司教アグネルスに改修を命じました。その際、この教会堂は異教徒と戦った聖マルティヌスの聖堂として再奉献され、アリウス派を想起させる装飾は変更されました。現在見られるモザイク画には、この時の修正の跡が残っています。

その後、聖マルティヌス聖堂として使用されていましたが、856年に司教ヨハネス7世によって、ラヴェンナの外港クラッシス（現在のサンタポリナーレ・イン・クラッセ聖堂の場所）から聖アポリナリスの聖遺物が移され、「サンタポリナーレ・ヌオヴォ聖堂」（新しい聖アポリナリス聖堂）と呼ばれるようになりました。

11世紀には、正面右側に高さ38mの円筒形鐘楼が建設されました。16世紀には正面にポルティコが追加されましたが、第一次世界大戦中にオーストリアの砲撃で破壊され、後に再建されました。

構造

サンタポリナーレ・ヌオヴォ聖堂は、身廊とそれを囲む側廊からなる、典型的な3廊式バシリカ教会堂です。身廊と側廊は12本のコリント式列柱で区切られています。1514年から1535年にかけて構造が改編され、身廊上部の壁面下部が削られました。コリント式柱頭上部に逆台形の副柱頭が置かれ、その上の半円アーチで壁面を支えていますが、これらの不自然さはこの改造によるものです。

天井は格天井ですが、これは17世紀に取り付けられたもので、元々はサンタポリナーレ・イン・クラッセ聖堂と同様に木造の小屋組が露出していました。

聖堂の装飾

聖堂のモザイクは良好な状態で保存されていますが、高潮の被害にたびたび見舞われたため、16世紀に創建当時から床面が1.2m以上高くされました。このため、床に敷き詰められていたモザイクは見ることができず、内部空間の構成は重く感じられます。また、アプス部分は創建当時のものは完全に失われています。

内部の壁面上部には、6世紀当時のモザイク画が残っています。元々は4段構成でしたが、最下段は床面が嵩上げされた際に取り壊されました。最上段には、キリストの奇跡と受難を描いた26の場面が描かれ、その下の高窓部分には旧約聖書の預言者または福音記者と12使徒（あるいは別の像）と思われる16人の聖人像が配置されています。

特に印象的なのは下部のモザイクです。北側には、3人のマギに導かれ、ラヴェンナの外港クラッシスを出発し、聖母子の元へ向かう22人の聖女の殉教者たちの行列が描かれています。南側には、聖マルティヌスに導かれ、ラヴェンナの王宮から天使に囲まれたキリストのもとへ向かう26人の殉教者の行列が描かれています。ここに描かれている王宮は、テオデリックの宮殿と考えられています。

3段目の図像には、元々アリウス派を象徴するモザイク画（例えば王宮の柱間やクラッシスの城壁など）が描かれていたと考えられており、一部が修正されています。現在では、アリウス派を想起させる場面はほとんどありません。

サンタポリナーレ・ヌオヴォ聖堂は、その美しいモザイク画を通して、ラヴェンナの歴史と文化を今に伝える貴重な遺産です。訪れる人々は、その壮麗な空間の中で、過去の時代に思いを馳せることができるでしょう。

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