サンタ・マリア・イン・コスメディン教会

サンタ・マリア・イン・コスメディン聖堂：歴史と芸術が息づくローマのバシリカ

サンタ・マリア・イン・コスメディン聖堂は、イタリアのローマ、リパ地区に位置するバシリカです。その起源は6世紀に遡り、食料市場跡地に建てられました。8世紀には教皇ハドリアヌス1世によって増築され、東方からの聖像破壊運動を逃れてきたギリシャ人に与えられたという歴史を持っています。「コスメディン」という名前は、ギリシャ語で「装飾」を意味し、その名の通り、聖堂内は美しい装飾で彩られています。

聖堂の歴史

7世紀には、ビザンティン建築の影響が強かったため、「de Schola Graeca」と呼ばれていました。782年頃の増築時には、聖像破壊運動から逃れてきたギリシャ人修道士に授けられました。9世紀にはニコラウス1世によって聖具室と祈祷堂が増築されましたが、1085年にはノルマン人によって破壊されるという苦難も経験しています。その後、1118年から1124年にかけてカリストゥス2世のもとで改修作業が行われ、1718年にはジュゼッペ・サルディによってバロック様式のファサードに改装されました。しかし、19世紀末の改修でバロック様式の増築は取り除かれました。

建築様式

聖堂は典型的なバシリカ建築で、ロマネスク様式の鐘楼が特徴的です。内部はコズマーティ様式の大理石モザイクで飾られ、中央の合唱席、説教台、ビザンチン様式の内陣との仕切り、主祭壇、天蓋などが美しい調和を保っています。特に、屋根部分は当時のまま残っているため、非常に貴重です。入り口右手にあるお土産売り場の壁には、3世紀に遡る美しいモザイク壁画があります。

真実の口

サンタ・マリア・イン・コスメディン聖堂は、「真実の口」があることで世界的に有名です。これは、聖堂の柱廊玄関にあった下水道のマンホールだったと考えられています。多くの観光客が「真実の口」の前で写真を撮るために訪れます。

その他の見どころ

聖堂の内部には、8世紀から12世紀にかけての絵画が展示されており、見ごたえがあります。また、1123年に作られた赤い花崗岩の祭壇や、13世紀の復活祭に用いる枝付き燭台も必見です。聖具室には、サン・ピエトロ大聖堂から持ち込まれた8世紀のモザイク壁画の断片が納められています。正面に向かって左の祭壇には、花かんむりを頭に乗せた聖ウァレンティヌスの頭蓋骨が安置されています。

サンタ・マリア・イン・コスメディン聖堂は、その長い歴史と美しい建築、そして「真実の口」によって、ローマを訪れる人々にとって魅力的な観光スポットとなっています。

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