サンチアゴ航空513便事件

サンチアゴ航空513便事件について

サンチアゴ航空513便事件は、1989年にアメリカのタブロイド紙『ウィークリー・ワールド・ニューズ』が報じたフィクションに過ぎません。この報道によれば、1989年10月12日にブラジルのポルト・アレグレ空港に着陸した航空機の機内で、92名全員が白骨化した状態で発見されたとされます。この航空機は実は1954年に失踪したサンチアゴ航空513便であると主張されました。

概要

当時、『ウィークリー・ワールド・ニューズ』は、行方不明になったこの航空機が35年後に突然姿を現したと報じ、様々なメディアでも取り上げられました。特に日本のオカルト雑誌『ムー』や、2001年に放送されたTBS系列のバラエティ番組『USO!?ジャパン』などは、この話を採り上げ、バミューダトライアングルにある航路の逆バージョンとして描写しました。

しかし、この事件には実際の証拠が全く存在せず、多くの反証が明らかになっています。これは、あくまで虚構の物語であり、都市伝説の一部と考えられています。

報道内容の疑問

『ウィークリー・ワールド・ニューズ』の記事の中では、サンチアゴ航空が1956年に廃業したとされていましたが、実際にはそのような航空会社はICAOの記録には見当たりません。また、サンチアゴ航空513便がアーヘン空港から出発したとしても、ドイツのアーヘンにはその名の空港が存在せず、実際には「アーヘン・メルツブリュック飛行場」という小規模な空港があるだけです。

この飛行場では定期の旅客便が運行されておらず、ブラジル向けの国際便も存在しません。また、ポルト・アレグレにはポルト・アレグレ空港という空港が存在せず、代わりにサルガド・フィーリョ国際空港が位置しています。

さらなる反論

加えて、事故に関する詳細な情報を提供している団体の記録にも、1954年や1989年に関連する事案は確認されていません。『ウィークリー・ワールド・ニューズ』は、過去にも同様の内容の記事を掲載しており、全く異なる日時や状況で架空の事故を報道していました。

また、自動操縦装置の歴史を見ても、1954年当時の旅客機には自動着陸装置がなかったことが分かります。このことから、万が一パイロットが故障していたとしても、無人状態で無事に着陸することは考えられません。

自動着陸装置が商業運航に導入されたのが1964年とされているため、それ以前の機体が独自に着陸することは原理上不可能です。

結論

つまり、サンチアゴ航空513便事件は、単なるフィクションであり、信憑性に欠ける情報に基づいた都市伝説に過ぎません。この種の話には注意し、正確な情報を基に議論を進めることが重要です。社会で流布する噂やフィクションに惑わされず、真実を見極める力を養うことが求められます。

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