サンチョ1世 (アラゴン王)

サンチョ1世：アラゴンとナバラの王、領土拡大と西欧連携の推進者

サンチョ1世（1042年頃 - 1094年）は、アラゴン王として即位後、ナバラ王を兼ね、その治世において領土拡大と西欧諸国との関係強化に尽力しました。彼の生涯は、レコンキスタの時代における重要な転換期を象徴しています。

生涯

1063年、父ラミロ1世の戦死によりアラゴン王位を継承したサンチョ1世は、翌年、ローマ教皇アレクサンデル2世が招集した対イスラム十字軍に応じました。バルバストロ攻略戦には直接関与しませんでしたが、戦後、教皇をはじめとする西欧社会との結びつきを深めました。1068年には教皇への臣従を表明し、ローマ式典礼を採用。グレゴリウス7世やウルバヌス2世にも臣従し、教皇の権威を後ろ盾としました。また、フランス貴族との婚姻関係を築き、彼らのスペイン流入を促進することで、レコンキスタを支援する勢力を取り込みました。これらの支援を受け、サンチョ1世はグラウスやモンソンを征服し、領土を拡大しました。

しかし、内政面では苦難もありました。1067年、カスティーリャ王サンチョ2世とナバラ王サンチョ4世との間で勃発した「三サンチョの戦い」では、劣勢のサンチョ4世を支援しましたが、敗北。ナバラはカスティーリャに領土の一部を奪われました。

1076年、ナバラ王サンチョ4世が暗殺されると、サンチョ1世はナバラに侵攻。カスティーリャ王アルフォンソ6世との王位争奪戦に勝利し、サンチョ5世としてナバラ王位を獲得しました。一方、サンチョ4世の王子ガルシアもナバラ王位を主張しましたが、領土を奪還することはできませんでした。

ナバラ王となったサンチョ1世は、都市建設にも力を注ぎました。ハカに司教座を設置し、フエロ（特権）を付与することで、外国人や商人、職人の定住を促しました。しかし、領土拡大の野望は衰えず、南と西への征服を続けました。1094年、ウエスカ包囲中に死去。後を継いだ長男ペドロ1世が包囲を継続し、1096年にウエスカを陥落させました。

家族

サンチョ1世は、2度の結婚をしました。最初の妻はウルジェイ伯アルメンゴル3世の娘イザベルで、1男をもうけましたが、後に離婚。2番目の妻はルシー伯イルドゥアン4世の娘フェリシーで、2男をもうけました。

ペドロ1世：アラゴン・ナバラ王
アルフォンソ1世：アラゴン・ナバラ王
ラミロ2世：アラゴン王

サンチョ1世の治世は、アラゴンとナバラの歴史において重要な転換点となりました。彼の西欧との連携政策と領土拡大の努力は、後のイベリア半島の勢力図に大きな影響を与えました。

参考文献

レイチェル・バード著、狩野美智子訳『ナバラ王国の歴史 山の民バスク民族の国』彩流社、1995年。
D.W.ローマックス著、林邦夫訳『レコンキスタ 中世スペインの国土回復運動』刀水書房、1996年。
芝修身『真説レコンキスタ <イスラームVSキリスト教>史観をこえて』書肆心水、2007年。
関哲行・立石博高・中塚次郎『世界歴史大系 スペイン史 1 -古代～中世-』山川出版社、2008年。
西川和子『スペイン レコンキスタ時代の王たち 中世800年の国盗り物語』彩流社、2016年。

関連項目

* ヒメノ朝

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