山川出版社

株式会社山川出版社の概要

株式会社山川出版社は、日本国内で高等学校向けの教科書、参考書、そして一般書において特に歴史に関連する書籍を手がける出版社です。1948年に創立され、創業者の野澤繁二は東京出身で、慶應義塾大学経済学部を卒業しました。現在、社長を務めるのは、元ラグビー選手の野澤武史です。

事業の範囲と変革

創業以来、山川出版社は専門書から一般書までを手掛け、特に歴史書の出版において老舗としての地位を築いてきました。2009年には、教科書以外の商品が主に40代から60代の読者層をターゲットにしていたのに対し、2018年からは新たに20代から30代の社会人を対象にした「学び直し」シリーズを提供し始めました。このシリーズは、日本史と世界史に焦点をあて、低価格でカラーページやコラムを増やした内容となっています。創業70周年を迎えた2018年には「歴史の転換期」シリーズをスタートし、歴史への新たなアプローチを試みています。

さらに、2019年には山川図書出版株式会社を吸収合併することで、事業の拡大を図りました。

教科書及び教材の特性

山川出版社の教科書は、文部科学省の検定に合格したもので、発行者番号は81です。主に高等学校向けの地理歴史科や公民科の教材を提供しており、日本史と世界史においては特に抜群の市場占有率を持っています。2011年度の教科書採択では、日本史Aが31.6%、日本史Bが67.8%と第1位を記録。また、世界史Aも30.1%、世界史Bが56.0%で同様の地位を得ています。

山川出版社は、戦後の教育改革期から長年にわたって歴史教育の基盤を提供し続け、高校生以外にも進学校の生徒が自主学習のために教科書を購入することが多いため、実際の市場占有率はさらに高いと考えられています。さらに、各教科用の用語集や問題集、教員向けの教材も多岐にわたり提供しています。

一般向け書籍の展開

山川出版社では、一般向けに再編集された高校教科書を「もういちど読むシリーズ」として広く販売しています。このシリーズは累計130万部を突破しており、一般読者に非常に人気があります。具体的には、以前の教科書版を再構成し、地図や資料を追加したり、注釈を分かりやすく配置することで、よりリーズナブルで手に取りやすい形にしています。

一般向け歴史書としては、「世界歴史大系」「日本歴史大系」などのシリーズがあり、歴史学の重要なレファレンスとして評価されている書籍も多くあります。また、辞典形式の書籍も出版されており、20世紀の日本史学を網羅する「日本史広辞典」や「日本思想史辞典」などがあります。

研究および学術書の出版

山川出版社は、研究学術書の分野にも力を入れており、歴史学界においても重要な役割を果たしています。騎馬民族征服王朝説を提唱した江上波夫や、近代ドイツ史の専門家で後に東京大学総長になった林健太郎の著作を数多く出版し、歴史学研究に寄与しています。また、1889年創刊の『史學雜誌』も同社によって扱われており、歴史学の重要な資源となっています。

もう一度検索