サンディエゴ・チキン

サンディエゴ・チキン：スポーツマスコットのパイオニア

サンディエゴ・チキンは、アメリカ・カリフォルニア州サンディエゴとその周辺地域を中心に、プロスポーツ界で活躍する人気マスコットです。「ザ・フェイマス・チキン」や「KGBチキン」とも呼ばれ、その名前は広く知られています。1970年代半ばに登場して以来、選手や審判、観客とコミカルに掛け合うスタイルで、スポーツイベントを盛り上げるマスコットの先駆者となりました。

誕生の背景

1974年、サンディエゴのラジオ局KGBが、テレビCM用にブライアン・ナレルにチキンのキャラクターを依頼したのが始まりです。着ぐるみのパフォーマーには、当時サンディエゴ州立大学の学生だったテッド・ジアンノーラスが採用されました。サンディエゴ動物園でのイベントで初登場すると、ジアンノーラスのコミカルなパフォーマンスがたちまち人気を博し、スポーツイベントへの出演依頼が殺到しました。

パドレスとの関わり

サンディエゴ・チキンは、ジアンノーラスが「試合をタダで見たい」という希望から、MLBのサンディエゴ・パドレスの試合にボランティアで登場するようになりました。また、当時のサンディエゴで開催されたロックコンサートにも頻繁に姿を現しました。

一時的な解雇と復活劇

1979年、会社との関係悪化により、KGBはジアンノーラスを解雇し、チキンのパフォーマンスを禁じました。しかし、代役のチキンが登場すると、観客からは大きなブーイングが起こります。その後、裁判所の判決によりジアンノーラスの復帰が認められ、大規模な復活イベントが開催されました。映画『2001年宇宙の旅』の音楽が流れる中、巨大な卵からチキンが登場し、47,000人の観衆からスタンディングオベーションで迎えられました。

全米への影響

サンディエゴ・チキンの成功を受け、アメリカ全土のプロスポーツチームでマスコットが急速に普及しました。また、それまでオルガン演奏が主流だった球場に、チキンの登場に合わせてロックミュージックが流れるようになりました。チキンは、ロッド・スチュワートのレコードジャケットに登場したり、子供向け教育番組『The Baseball Bunch』で司会を務めたり、マクドナルドのCMに出演するなど、多方面で活躍しました。

その他の活動とエピソード

1991年には、NBAのシカゴ・ブルズの試合でチアリーダーに怪我をさせたとして訴訟を起こされました。また、1999年と2000年には、プロレス興行「レッスルマニア」に元メジャーリーガーのピート・ローズが着ぐるみに入って登場しました。2005年にはマスコット栄誉の殿堂入りを果たし、スポーティングニューズ紙が選ぶ「20世紀のスポーツ界で最も影響力のある100人」にも選出されました。

特筆すべき点

サンディエゴ・チキンは、MLBのサンディエゴ・パドレスの公式マスコットと誤解されがちですが、実際には同球団の公式マスコットは「スウィンギング・フライヤー」という修道士のキャラクターです。チキンはパドレスの試合に520試合以上連続で登場していますが、版権はラジオ局が所有しているため、野球に限らず様々なイベントに登場できます。

まとめ

サンディエゴ・チキンは、スポーツマスコットの歴史において、その斬新なパフォーマンスとエンターテイメント性で、多くの人々に愛されてきました。その影響はアメリカ全土に及び、現在のスポーツマスコットのあり方を大きく変えたと言えるでしょう。8,500試合以上のプロスポーツのゲームに加え、パレードや展示会など17,000回以上の出演は、まさに伝説級です。彼がスポーツ界に残した足跡は、これからも語り継がれるでしょう。

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