サントトリニテ教会

サント・トリニテ教会（Église de la Sainte-Trinité de Paris）

パリ市9区の中心部に位置するサント・トリニテ教会は、ローマ・カトリックに属する荘厳な建築物です。その名称「サント・トリニテ」はフランス語で「聖三位一体」を意味し、キリスト教における根幹教義を冠しています。エスティエンヌ・ドルヴ広場、ブランシュ通りの起点、サンラザール通り、ショセ＝ダンタン通りに面しており、特にショセ＝ダンタン通りからはオペラ地区を通して教会の姿を望むことができます。

フランス第二帝政期の大規模プロジェクト

この教会は、19世紀後半のフランス第二帝政期に進められたパリ大改造の一環として、セーヌ県知事ジョルジュ・オスマン男爵の指示により計画されました。設計は建築家テオドール・バリューが担当し、1861年に着工、わずか6年後の1867年には完成を見るという驚異的なペースで建設が進められました。当時の貨幣価値で400万フラン弱という、その壮麗な外観や内部の豪華な装飾に比して極めて経済的な費用で建てられたとされていますが、建物の印象や質が損なわれることはありませんでした。教会が建設される以前、この場所には「グランド・パント」という名の豪華なレストランが存在していました。

芸術家たちの貢献

サント・トリニテ教会の美しさは、多くの著名な芸術家たちの手によって創り上げられました。フェリックス＝ジョゼフ・バリアス、ジャン＝ジュール＝アントワーヌ・ルコント・デュ・ヌイ、ウジェーヌ＝ルイ・ルケーヌ、アリスティド・カヴァイエ＝コル、フランシスク・デュレ、シャルル＝アルフォンス＝アクイル・ギュメリ、そしてデジレ・フランソワ・ロージェといった才能豊かな芸術家たちが、彫刻や絵画、オルガン製作など、様々な形で教会の装飾に貢献しています。

教会の歴史

1861年の着工から始まり、1867年に竣工し、同年中に教会は祝別されました。特筆すべき歴史的な出来事としては、1869年3月11日に作曲家エクトル・ベルリオーズの葬儀がこの教会で執り行われたことが挙げられます。その後、1913年には教会が聖別され、正式な聖地としての地位を確立しました。さらに現代では、1986年に当時のリュスティジェ司教により、トリニテ教区の運営がエマニュエル共同体に委託されるという変化がありました。

名器カヴァイエ＝コル・オルガン

サント・トリニテ教会が誇る宝の一つに、著名なオルガン製作者アリスティド・カヴァイエ＝コルによって1869年に製作されたパイプオルガンがあります。このオルガンは3段の手鍵盤とペダル鍵盤を備え、60の音栓を持つ機械式コンソールを有しています。残念ながら、製作直後に発生したパリ・コミューンの混乱により根幹部分が大きな被害を受けましたが、後に修復・再建されました。このオルガンは多くの音楽家によって愛され、特にアレクサンドル・ギルマンはここでオルガニストを務め、数々の作品を生み出しました。さらに特筆すべきは、20世紀を代表する作曲家・オルガニストであるオリヴィエ・メシアンが、1933年から彼が亡くなる1992年まで、実に60年近くにわたりこの教会のオルガニストを務め、このオルガンを用いて作曲や演奏活動を行ったことです。

教会へのアクセスとしては、パリのメトロにもその名が冠されており、「トリニテ（Trinité - d'Estienne d'Orves）駅」が最寄りの駅となっています。

もう一度検索