サントリーレッド

サントリーレッド：日本の食卓を彩るウイスキーの物語

サントリーレッドは、サントリーが製造・販売するブレンデッドウイスキーです。海外産の原酒も一部使用しているため、ジャパニーズウイスキーとは分類されませんが、日本のウイスキー史において重要な位置を占める銘柄と言えるでしょう。1930年、サントリーの前身である壽屋が「サントリー赤札」として発売したものの、市場の反応は芳しくなく、製造中止に追い込まれます。その後、1964年に「サントリーレッド」として復活。以来、日本の家庭の晩酌シーンを彩る定番ウイスキーとして親しまれています。

サントリーレッドの歴史：幾多の挑戦と復活劇

サントリーの創業者、鳥井信治郎は1907年に「赤玉ポートワイン」を発売し成功を収め、1923年にはウイスキー製造に着手します。スコットランドから招いた竹鶴政孝氏の指導のもと、山崎蒸留所を建設、翌年にはウイスキーの製造を開始しました。しかし、国産ウイスキー製造は手探りの状態。最初の製品「白札」（後のサントリーホワイト）は、スコッチウイスキー特有のピート臭が強すぎたため、不評に終わります。その後、改良を加えた「赤札」を発売しますが、これも失敗に終わり、製造中止となりました。

戦後、サントリーは「サントリー角瓶」「サントリーオールド」の大ヒットによってウイスキー事業で成功を収めますが、「赤札」は忘れられた存在となっていました。しかし、1964年、二代目の社長・佐治敬三の決断により、「サントリーレッド」として復活を果たします。この復活劇の背景には、競合他社であるニッカウヰスキーの「ハイニッカ」の発売が影響したと言われています。

サントリーレッドの成功：CMとブランドイメージ

復活したサントリーレッドは、効果的なCM戦略によって大きな成功を収めます。俳優の宇津井健氏が出演したCMは人気を博し、親しみやすいブランドイメージを確立しました。さらに、当時の希望小売価格を競合他社より安く設定したことで、「お徳用ウイスキー」という印象を与え、消費者の支持を獲得します。

1970年代後半からは、女優の大原麗子氏が出演したCMシリーズが話題となります。「すこし愛して、なが～く愛して。」というキャッチコピーは、サントリーレッドのロングセラーを決定付けるものとなりました。その後も、時代に合わせてブランドイメージを刷新しながら、640ml瓶をはじめ、様々な容量で販売され続けています。2017年にはラベルデザインも刷新され、現代的な印象に生まれ変わっています。

製品ラインアップとエピソード

現在、サントリーレッドは180ml瓶、640ml瓶、1920mlペットボトル、2700mlペットボトル、4000mlペットボトルで販売されています。過去には、1280ml瓶（ダブルサイズ）、1920ml瓶（トリプルサイズ）なども存在しました。

サントリーレッドは、発売当初から640ml、アルコール分39％に設定されており、辛口の風味です。発売当初のCMは、コピーライターの仲畑貴志氏にも影響を与えたエピソードとして知られています。また、1980年には糸井重里氏が「ロマンチックが、したいなぁ。」というキャッチコピーを手掛けています。

大原麗子氏が出演したCMシリーズは、CMプランナーの藤井達朗氏の急逝や、ウイスキー市場の変化によって1990年頃に終了しました。その後、1998年には南果歩氏ときたろう氏が出演したCMが放送されましたが、現在ではCMは制作されていません。

サントリーレッドは、その歴史と変遷の中で、常に時代のニーズに合わせて変化を遂げながら、日本の家庭で愛されるウイスキーとして、その地位を確立しています。これからも、日本の食卓を彩り続ける存在であり続けるでしょう。

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