サントリー1万人の第九

サントリー1万人の第九

「サントリー1万人の第九」は、1983年から毎年12月の第1日曜日に大阪城ホールで行われる音楽イベントで、ベートーヴェンの交響曲第9番「合唱付き」を中心に実施されます。参加者は一般から広く募り、1万人規模の大合唱団が組織されることで知られています。英語表記は「Suntory Presents Beethoven's 9th with a Cast of 10000」であり、時に「1万人の第九」と称されています。

イベントの背景と初開催

このイベントは、1982年に大阪21世紀協会が設立されたことを受けて、同協会が主催する「大阪築城400年まつり」の一環であることがきっかけで始まりました。最初の公演は、当初は1回限りの予定でしたが、その華やかな成功を受け、以降も毎年行われることとなったのです。

初回公演では、約6,500人の合唱団員と7,000人の観客が一体となり、「第九」を演奏しました。当時、このような大規模な合唱は異例であり、参加した市民たちに深い感動を提供しました。

公演の進化と新型コロナウイルスの影響

「1万人の第九」は、年々規模を拡大し続け、途中で東京や広島に「第九」の大合唱イベントを影響を与えるなど、多くの波及効果を生み出してきました。特に、新型コロナウイルスが広がった2020年の公演では、感染症対策を講じる中で映像配信という新しい形式が導入され、参加者が集まっての大合唱ができない状況の中でも、多くの人がオンラインでこの演奏に参加しました。

2021年の第39回公演では、引き続きリモート合唱やオンラインレッスンを行い、2022年の第40回公演では、観客を5000人まで増員しての合唱が実現しました。2023年の第41回公演に至っては、観客の人数が元通りに戻り、久しぶりの1万人規模での合唱が行われました。

現在の運営体制と参加方法

毎年の公演は、毎日放送（MBS）が主催しており、サントリーが協賛しています。合唱団員の募集方法は、一般公募制であり、応募者は抽選で選ばれた後、主催者が提供するレッスンを受講する必要があります。

特に、合唱団員はレッスンを通じて「第九」の曲を学び、各パートごとに分けられたクラスで指導を受けます。また、参加料が必要となる他、毎回の公演ごとに特別な記念品が配布されることもあります。

文化的影響と交流

「サントリー1万人の第九」は、音楽界だけにとどまらず、多くの市民を巻き込む形で地域の文化振興にも大きく寄与しています。これによって、第九の合唱を学んだ多くの人々が音楽大学に進学したり、自分の合唱団を立ち上げるなど、新しい動きを生み出しています。さらに、他地域との交流やさらなる公演活動への参加も促進され、関西圏だけでなく全国に広がる文化的なムーブメントとなっています。

このように、「サントリー1万人の第九」は、単なる音楽イベントを超え、多くの人々の心をつなぐ大きな力を持ったイベントとして、今後も日本の演奏文化に寄与していくことでしょう。

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