サント・ドミンゴ教会 (長崎市)

サント・ドミンゴ教会の歴史

サント・ドミンゴ教会は、1609年（慶長14年）にドミニコ会のフランシスコ・デ・モラーレス神父によって、長崎に建設された教会です。この教会は、日本におけるキリスト教黎明期において重要な役割を果たしましたが、その歴史は長くありませんでした。

教会の設立

フランシスコ・デ・モラーレス神父は、1602年から薩摩で宣教活動を行っていましたが、キリスト教への迫害が激化したため、1609年に薩摩を追放されました。その際、モラーレス神父は薩摩の京泊にあった「ロザリオの聖母聖堂」を解体し、その木材を長崎へと運び、移築してサント・ドミンゴ教会を建てました。教会の建設地は、当時の長崎代官であった村山等安がドミニコ会に寄進した土地でした。

禁教令による破壊

しかし、1612年に幕府が禁教令を発布すると、状況は一変します。1614年には、サント・ドミンゴ教会を含む長崎のほとんどの教会やキリスト教関連施設が破壊されました。サント・ドミンゴ教会も例外ではなく、その歴史はわずか5年で幕を閉じることとなりました。

教会跡のその後

サント・ドミンゴ教会が破壊された後、その跡地には長崎代官となった末次平蔵が代官屋敷を建てました。その後も代官屋敷が建て替えられたため、遺跡からは教会時代と代官屋敷時代、それぞれの時代の遺物が出土しています。

遺跡の発掘と資料館

2002年（平成14年）、長崎市立桜町小学校の校舎建て替えに伴う発掘調査によって、サント・ドミンゴ教会の遺跡が発見されました。この遺跡は、江戸時代初期の教会遺構として貴重であり、当初は世界遺産暫定リストに掲載された「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の構成資産の一つとされていましたが、後に候補から除外されました。

2004年には、桜町小学校の敷地内に「サント・ドミンゴ教会跡資料館」が開設されました。この資料館では、発掘された遺物や遺跡の一部、そして長崎市内で発見されたキリシタン関係の資料が展示されています。入場は無料で、サント・ドミンゴ教会の歴史を深く知ることができます。

サント・ドミンゴ教会の意義

サント・ドミンゴ教会は、短命に終わった教会ではありますが、その歴史は日本のキリスト教史において重要な位置を占めています。発掘された遺物や遺跡は、当時のキリスト教の状況や生活を知るための貴重な資料となっており、禁教令という時代の流れの中で翻弄された人々の歴史を今に伝えています。

参考資料

ホセ・デルガード・ガルシーア編注、佐久間正訳『福者フランシスコ・モラーレスO.P.書簡・報告』キリシタン文化研究会、1972年
『勝山町遺跡　長崎市桜町小学校新設に伴う埋蔵文化財発掘調査報告書』長崎市教育委員会、2003年
サント・ドミンゴ教会跡資料館 パンフレット
『旅する長崎学1』（長崎文献社、2006年）
『旅する長崎学4』（長崎文献社、2006年）

外部リンク

サント・ドミンゴ教会跡資料館 - 長崎市

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