サンパウロ新聞

サンパウロ新聞について

サンパウロ新聞は、1946年に創刊され、日系ブラジル人のコミュニティに重要な役割を果たした日本語およびポルトガル語の新聞です。発行者の水本光任は、日本語での情報提供の必要性を認識し、この新聞を立ち上げ、ブラジル政府と交渉の上でその出版を実現しました。また、サンパウロ新聞社は日本語メディアの中で影響力を持ち、多くの読者に愛されました。

歴史的背景

第二次世界大戦中、ブラジルでは多数の邦字新聞が発行禁止となり、日系社会は日本の勝敗に関する情報に困難を極めました。この時期、国内の新聞はほとんどポルトガル語であり、言語の壁から情報が遮断された結果、コミュニティ内で混乱が広がり、多くの悲劇的な事件が発生しました。そのような状況を踏まえ、水本は日本語情報の必要性を強く感じ、サンパウロ新聞を創刊しました。

読者層と発行数

サンパウロ新聞の購読者の約90%は、日本語を理解する高齢者世代であり、1世と2世に分類されます。60年代には、発行部数は8万部に達するなど、非常に大きな発行数を誇っていました。しかし、時が経つにつれて高齢化が進み、読者層は減少の一途をたどりました。そのため、日系社会における日本語離れが進行し、最終的には2019年1月1日発行の新年号をもって廃刊に至りました。

受賞歴

1977年には、サンパウロ新聞が『第25回菊池寛賞』を受賞しており、その業績が評価されています。この賞は、日本の文筆活動を促進するためのものであり、サンパウロ新聞が文化的貢献を果たしたことの証となっています。

社名の由来

サンパウロ新聞社の所在地は、創刊者である水本光任にちなんで、「ミツト・ミズモト通り」（Rua Mituto Mizumoto）という名称がつけられています。この通りは、彼の功績を称えるものであり、出版業界における彼の影響を物語っています。

おわりに

サンパウロ新聞は、日系ブラジル人に対して日本語で情報を提供し、コミュニティの絆を深める非常に重要なメディアでした。今ではその役割を終えましたが、日系社会に残した影響と足跡は、後のメディアや文化活動に脈々と受け継がれています。サンパウロ新聞の歴史は、ブラジルに根付いた日本文化の一環として、語り継がれていくことでしょう。

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