サンボ (格闘技)

サンボについて

サンボ（ロシア語: самбо）は、ソビエト連邦で創出された格闘技で、特に軍隊格闘術としても重要な役割を果たしました。「サンボ」という名称は「武器を持たない自己防衛」を意味する「самооборона без оружия」の略であり、主にスポーツサンボに関連して使用されます。競技者は通常「サンビスト」や「サンボレスラー」と呼ばれます。

サンボの歴史

サンボの創始者の一人であるワシリー・オシェプコフは、日本で嘉納治五郎のもとで柔道を学び、その後ソ連で柔道の普及に努めましたが、不幸にも1937年に投獄され、獄中で病死しました。もう一人の創始者であるビクトル・スピリドノフは、ボクシングや柔術を基に独自に体系化した格闘技を「Cамооборона без оружия」と名付けました。この格闘技は第一次世界大戦後、ソ連赤軍により軍隊格闘術として採用され、軍隊のサンボである「バエヴォエサンボ」へと発展しました。

その後、1938年にオシェプコフの弟子がソ連式フリースタイルレスリングの創設を宣言し、同年11月16日にサンボが国技として認定されることとなりました。1947年には「サンボ」と改称され、スポーツとして普及し始めます。

スポーツサンボの特徴とルール

サンボは打撃技は禁止されており、主に投げ技や関節技によって勝負が決まります。試合は、青または赤のリバーシブルのサンボジャケットを着用し、下にはスポーツショーツまたはスパッツを履いて行います。サンボジャケットは柔道着に似ていますが、肩部分に特有のデザインが施されています。

競技ルール

スポーツサンボの試合では、勝敗の判定が定められています。主なポイントは以下の通りです：

• - 一本勝: 相手をきれいに投げる、または関節を極めた場合。
• - ポイント: 投げ方や抑え込みの時間に応じて得点が与えられる。
• - 禁止事項: 絞め技、首への関節技、無理な関節技の使用は禁止されています。

国際大会と日本での普及

サンボは1967年にリガで初の国際大会が開催され、以来、ヨーロッパ選手権や世界選手権が設立されました。また、1980年のモスクワオリンピックでは公式種目としての承認が試みられましたが、政治的理由から実現しませんでした。

日本でのサンボ普及の歴史は1963年に始まり、レスリング選手との交流を通じて広がりました。1965年には日本サンボ連盟が設立され、国内競技や選手権が開催されるようになりました。以降、数多くの選手が国際大会での成果を残し、サンボは日本国内において確固たる地位を築いています。

代表的な日本のサンビスト

日本には数多くのサンビストが存在します。古賀正一、菅芳松、佐藤宣践などの選手たちは、国際舞台で素晴らしい成績を収めています。また、2012年には日本サンボ連盟が一般社団法人格を取得し、近年はさらなる普及活動が進められています。

サンボはその独自の技術や哲学により、柔道やレスリングとは異なる魅力を持ちつつ、国際的にも認知される格闘技として成長を続けています。

もう一度検索