サン・ニコラス (ブエノスアイレス)

サン・ニコラス地区の概要

サン・ニコラス(San Nicolás)はアルゼンチンの首都ブエノスアイレスに属する重要な地区であり、コムーナ1に位置しています。2001年の調査によるとこの地区の人口は約33,305人です。サン・ニコラスは特に市と国の行政機関が多く集まるエリアで、経済的にも重要な役割を果たしています。

この地区は一般的には「エル・セントロ」（シティ・センター）と呼ばれるエリアの一部として認識されていますが、7月9日大通りの東側にある一部は「ミクロセントロ」と称されています。サン・ニコラス地区はコルドバ通り、カジャオ通り、リバダビア通り、ラ・ラビダ通り、エドゥアルド・マデーロ通りによって他の地区と隔てられています。

歴史的背景

サン・ニコラスという名前は1773年に設立されたサン・ニコラス教区教会に由来しています。しかし、7月9日大通りの建設に伴い、この教会は取り壊され、その位置にはブエノスアイレスの象徴であるオベリスクが建設されました。1791年には現在のブエノスアイレス大聖堂となる建物がこの地区に建設され、その後、港を利用した商業活動が活発化し、1802年にはボネオ桟橋が築かれました。これによりサン・ニコラスはブエノスアイレスの重要な海上交通の拠点として台頭しました。

1794年にはイギリスの領事館が開設され、「イギリス人自治区」として知られるようになったことも地区の発展に寄与しました。1810年に設立されたイギリス人商人協会や1822年の英国領事館は、サン・ニコラスが商業の中心としての地位を高める要素となりました。フアン・マヌエル・デ・ロサス知事のもと、1830年には洗礼者ヨハネ英国国教会が設立されるなど、地区内の文化的価値も上昇しました。

経済的にもこの地区は重要性を増していき、1854年にはブエノスアイレス証券取引所が設立されました。サン・ニコラスはその他にも、アルゼンチン中央銀行や国立銀行といった大手金融機関が立地する金融の中心地として知られています。1857年にはラテンアメリカ初の鉄道駅がオープンし、交通の便も大いに改善されました。

文化施設と経済活動

1920年代から30年代にかけて、サン・ニコラス地区にはコロン劇場やセルバンテス劇場といった有名な文化施設が次々と建設されました。これらの劇場は今日でも多くの観客を魅了し、地区の文化的な魅力を高めています。また、1950年代にはブエノスアイレス中央郵便局が建設され、さらにランドマーク的な存在となりました。

現在、サン・ニコラス地区の約3分の2はブエノスアイレスの中心業務地区(CBD)に該当し、アルゼンチンを代表する企業が本社を置いています。アルゼンチン航空やマクロ銀行に加え、国際的な企業のアルゼンチン本部も数多く存在し、活発な経済活動が行われています。

訪れる人々はフロリダ通りの活気ある小売エリアやガレリアス・パシフィコ商店街、映画館・劇場が集中するコリエンテス通りといった名所を楽しむことができます。この地区は経済、文化、歴史が融合した魅力的な場所なのです。

もう一度検索