サービスの貿易に関する一般協定

サービス貿易に関する一般協定（GATS）

サービス貿易に関する一般協定、通称GATS（General Agreement on Trade in Services）は、1994年に締結された国際的な条約であり、世界貿易機関（WTO）を設立する際に制定されたマラケシュ協定の一部として位置付けられています。この協定は、日本国内では国会の承認を得た「条約」として扱われており、正式な法令番号は平成6年条約第15号です。

GATSの概要

GATSは、政府によるサービス貿易に対する規制について、多国間で初めて取り決めた法的枠組みです。この条約は、本文と8つの附属書、さらには各国の約束表から構成されています。特に、GATSは民間が行うすべてのサービス（政府の権限の行使の一環として提供されるものを除く）を対象としており、サービス貿易の自由化に向けた各国の取り組みを促進しています。

また、GATSは、サービス貿易の形態を4つのモードとして定義しています。これにより、各国は各モードに関して自由化の約束をし、それぞれの状況に応じた対応策を講じることが可能となります。具体的には、次の4つのモードが設定されています。

1. 第1モード：国境を超える取引
物品が取引されるのとは異なり、サービスは国境を越える際に特有の課題を抱えています。このモードでは、サービスが消費者や企業に直接提供されることが含まれます。

2. 第2モード：海外における消費
サービスが外国で消費された場合に該当します。例えば、観光産業や教育サービスなどがこのモードに含まれます。

3. 第3モード：業務上の拠点を通じてのサービス提供
企業が海外に拠点を設け、その拠点からサービスを提供する場合を指します。これは、世界的な企業展開を図る上で重要な要素です。

4. 第4モード：自然人の移動によるサービス提供
専門家や労働者が国境を越えて移動し、サービスを提供することを示します。これにより、各国間での人的交流が促進されます。

自由化の促進

GATSは、2000年以降にさらなるサービス貿易の自由化に向けた交渉を行うことを定めたビルトイン・アジェンダを包含しています。この枠組みの下で、WTOのサービス貿易理事会において交渉が進行中です。各国は、これを利用して自国のサービス市場の拡大や新しい協定の構築を目指しています。

まとめ

このように、GATSは単なる貿易条約にとどまらず、国際的なサービス市場の成長を支える重要な枠組みとなっています。各国の約束表による多様なアプローチと、継続的な自由化交渉は、サービス貿易のさらなる発展を促す鍵となるでしょう。

関連項目

• - 世界貿易機関（WTO）
• - ウルグアイ・ラウンド

外部リンク

• - 付属書一B サービスの貿易に関する一般協定 - 条約の日本語訳（外務省）
• - サービスの貿易に関する一般協定（GATS）の解説（外務省）

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