ウルグアイ・ラウンド

ウルグアイ・ラウンドは、1986年から1994年にかけて行われた、世界貿易の自由化を促進するための多国間通商交渉です。ウルグアイのプンタ・デル・エステで開始が宣言されたことから、この名が付けられました。GATT・IMF体制下における主要な通商交渉の一つであり、ケネディ・ラウンド、東京ラウンドと並び称されます。

背景

1948年に発足したGATTは、1970年代までに7回の貿易・関税交渉を行い、関税引き下げなどを通じて自由貿易を推進してきました。しかし、1980年代に入ると、各国で保護主義的な動きが強まり、商品貿易以外の国際取引も増加するなど、国際貿易を取り巻く環境が大きく変化しました。こうした状況に対応するため、新たな貿易交渉の必要性が高まり、第8回目の貿易交渉としてウルグアイ・ラウンドが開始されました。

交渉内容

ウルグアイ・ラウンドでは、サービス貿易、知的所有権、農産物の自由化など、幅広い分野について交渉が行われました。特に農業分野の交渉は難航し、全ての農産物を関税化に移行させることや、最低輸入機会（ミニマム・アクセス）を決定するにとどまり、完全な自由化には至りませんでした。

交渉の結果

ウルグアイ・ラウンドの結果、GATTを改組して世界[[貿易機関]]（WTO）を設立することが決定されました。また、貿易に関連する投資措置に関する協定（TRIM）、サービスの貿易に関する一般協定（GATS）、知的所有権の[[貿易関連の側面に関する協定]]（TRIPS協定）が成立しました。

これらの協定により、加盟国はパフォーマンス要求の一部を廃止することや、サービス貿易の一形態であるサービス産業の現地進出に対して規制緩和することなどの義務を負うことになりました。しかし、これらは先進国が想定する投資ルールのごく一部をカバーするにとどまっており、包括的な投資ルールの策定に向けた交渉の開始が期待されています。

ウルグアイ・ラウンドの結果に不満を持った発展途上国の反発により、当初計画されていた新多角的貿易交渉（新ラウンド）の立ち上げは、1999年のシアトル閣僚会議で頓挫しました。

日本への影響

日本は、ウルグアイ・ラウンド合意の影響を緩和するため、細川内閣時代に巨額の予算を投じました。しかし、その多くは農業農村整備事業に用いられ、日本の農業強化には繋がらなかったという指摘があります。

その他の多角的貿易交渉

GATT/WTOの下では、ウルグアイ・ラウンド以外にも多数の多角的貿易交渉が行われてきました。以下に主なものを列挙します。

第1回（1948年、ジュネーヴ）
第2回（1949年、アヌシー）
第3回（1951年、トーキー）
第4回（1956年、ジュネーヴ）
第5回 ディロン・ラウンド（1960年 - 1961年）
第6回 ケネディ・ラウンド（1964年 - 1967年）
第7回 東京ラウンド（1973年 - 1979年）
第9回 ドーハラウンド（2001年 - ）

ウルグアイ・ラウンドは、世界貿易のあり方を大きく変えた重要な交渉であり、その後のWTO体制の確立に大きな影響を与えました。

もう一度検索