サーモン・チェイス

サーモン・ポートランド・チェイスの生涯と業績

サーモン・ポートランド・チェイス（1808年1月13日 - 1873年5月7日）は、南北戦争時代のアメリカ合衆国において重要な役割を果たした政治家及び法律家です。彼はオハイオ州の第23代知事（1856 - 1860年）や、エイブラハム・リンカーン大統領の下で財務長官および最高裁判所長官としての立場を歴任しました。その業績は今日でも評価されており、様々な施設や通貨に彼の名が残っています。

生い立ち

チェイスは、ニューハンプシャー州コーニッシュに生まれました。彼の父、イスマールは彼が9歳の時に亡くなり、母親のジャネットは10人の子供を抱えて未亡人となりました。チェイスはおじのフィランダー・チェイスに育てられ、彼はオハイオ州とイリノイ州でプロテスタントの指導者として知られていました。教育を重んじた家庭環境で育ったチェイスは、バーモント州とオハイオ州で公立学校に通った後、シンシナティ大学を経て、1826年にダートマス大学を卒業しました。大学在学中には教育者としても活動し、ロイヤルトン・アカデミーで教鞭を執りました。

チェイスは後にコロンビア特別区に移り住み、司法長官ウィリアム・ワートのもとで法律を学びながら教師も続けました。そして1829年に法曹界に足を踏み入れました。

政治経歴

1830年にシンシナティへ移り住んだチェイスは、法曹界で頭角を現し、オハイオ州法の注釈書を発表しました。1835年に最初の妻が亡くなって以降、彼は奴隷制度廃止運動に積極的に参加するようになります。逃亡奴隷の弁護を行い、アメリカ日曜学校ユニオンとも協力しながら活動を展開しました。当時、シンシナティは南部の商業に影響されており、この背景が彼の活動を一層促進させました。

1836年のシンシナティ暴動の際、彼は反奴隷制度の立場を表明し、世論に影響を与える仲間たちと共に運動を展開しました。その中でチェイスはガリソニアン奴隷解放運動とは異なる政治改革を目指す指導者として台頭しました。

死と遺産

チェイスは1873年にニューヨークで亡くなり、ワシントンD.C.のオークヒル墓地に埋葬されましたが、後にシンシナティのスプリング・グローブ墓地に移されました。また、彼はシンシナティにある聖パウロ大聖堂の活動的なメンバーでもありました。

彼の名を冠したチェイス・ナショナル銀行は彼との直接的な財政的つながりはありませんが、彼の業績を称えて設立されました。そのほか、アメリカ合衆国沿岸警備隊学校の本棟や寮は「チェイス・ホール」と名付けられ、彼の財務長官としての功績を記念しています。さらに、かつて流通していたアメリカ10,000ドル紙幣にも彼の肖像が使用されました。

その後、カンザス州のチェイス郡や、フロリダ州、マサチューセッツ州、ノースカロライナ州、ニューヨーク州、オハイオ州、テネシー州に位置するチェイスビルなど、彼の業績を称えるために多くの場所に彼の名が冠せられました。チェイスの影響力は時代を超えてなお、アメリカの歴史の中で重要な位置を占めています。

もう一度検索