ザウエル&ゾーン 38H

ザウエル&ゾーン 38H

ザウエル&ゾーン38Hは、ドイツの銃器メーカーであるザウエル&ゾーン社が開発した自動拳銃です。第二次世界大戦中には、ドイツ国防軍の陸軍、空軍、およびドイツ警察に制式採用されました。

概要

38Hの「H」は、ドイツ語でハンマーを意味する「Hahn」の頭文字です。外見上はハンマーが見えませんが、撃発機構には内蔵式のハンマーが使用されています。フレームの左側面には、デコッキングレバーとマガジンリリースボタンが配置されています。初期の生産型を除き、マニュアルセーフティは搭載されていません。

デコッキングレバーは、ハンマーが起きた状態から押し下げることで、ハンマーを安全に落とすことができます。これにより、薬室に弾薬が装填された状態でも安全に携帯することが可能でした。再び射撃を行う際は、デコッキングレバーを押し上げることでハンマーを起こし、射撃準備を整えることができます。

また、引き金の根元には貫通孔があり、この孔が見えている状態が安全位置、引き金が引かれて孔が隠れている状態が撃発位置を示していました。薬室に弾薬が装填されている場合、スライドの後端からインジケータピンが突出する機構も備えていました。さらに、マガジンが挿入されていない状態では発砲できないマガジンセーフティも装備されており、安全性に配慮した設計となっていました。

38Hの設計は、その後の銃器開発に大きな影響を与えました。固定銃身、シンプルブローバック方式、内部構造はSIG SAUER P230に、マニュアルセーフティを廃止しデコッキングレバーを安全装置として機能させる特徴はSIG SAUER P220に、それぞれ引き継がれています。これらの銃は、スイスのSIG社との共同開発によって生まれました。また、レバー操作でハンマーをコックする機能は、H&K P9Sにも採用されています。

バリエーション

1938年から1945年までの間に、大きく分けて3つの型が製造されました。

最初の生産型: スライド左側に「JP Sauer und Sohn」と「CAL 7.65」の刻印。
二番目の生産型: スライド左側面にマニュアルセーフティを追加。
三番目の生産型: スライドの刻印が「CAL 7.65」のみとなり、マニュアルセーフティも廃止。

参考文献

「ドイツ軍用ピストル図鑑1901-1945」(ホビージャパンMOOK 625)、ホビージャパン

関連項目

拳銃一覧
SIG SAUER P230
* SIG SAUER P220

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