ザウバー・C31

ザウバー・C31 (Sauber C31)

ザウバー・C31は、2012年のF1世界選手権に参加するためにザウバーによって設計されたフォーミュラ1カーです。この車両は、特に空気力学やサスペンションの進化に敏感なトレンドを反映しています。

デザインと技術

C31の外観は、無骨なデザインのノーズが特徴であり、特にノーズコーンとモノコックの境目には細いスリットが設けられています。この構造は、空気を効率的に流れ込むように設計されており、2008年のフェラーリ・F2008に似た排気口の意匠を見ることができます。更に、エンジンやKERS（運動エネルギー回生システム）、ギアボックスはフェラーリから供給されており、リアサスペンションもフェラーリの仕様に合わせたプルロッド式が採用されています。

サイドポッドの排気管の周囲には溝があり、排気はスロープに沿ってディフューザーへ流れ込みます。これはコアンダ効果を利用したエキゾーストシステムで、2012年のF1シーズンにおけるトレンドとなり、多くのチームがこの方式を取り入れました。また、リアウィングの支持部はスワンネック式ステーで吊り下げられており、ダウンフォースを増やす役割も果たしています。

前年のC30はタイヤマネージメントに課題があったため、C31ではその改良が試みられました。特にタイヤを速やかに温める能力を向上させることが目標でした。

2012年シーズンの成果

C31は2012年2月のヘレステストで初めて披露されましたが、そのテスト中にテクニカルディレクターのジェームス・キーがチームを離れることが発表されました。チームは各部門の責任者による開発を追求し、プレシーズンテストでは他チームに対して大きな印象を与えるパフォーマンスを見せました。

開幕戦のオーストラリアGPでは2台揃ってポイントを獲得し、第2戦のマレーシアGPではセルジオ・ペレスが2位に入るという圧巻の成績を収めました。続く中国GPでは小林可夢偉がファステストラップを記録し、ペレスもモナコGPでさらなるファステストラップを獲得しました。小林も後のレースで好成績を収め、チームとしても複数回表彰台を獲得することができました。

しかし、シーズン後半には失速してしまい、コンストラクターズ選手権での5位を目指して努力し続けましたが、日本GP以降は思うようにポイントを得られませんでした。

C31のスペック

C31は、カーボンファイバー製のモノコックシャシーを採用し、ダブルウィッシュボーン型のフロントおよびリアサスペンションを搭載しています。ブレーキはブレンボ製の6ピストンキャリパーを使用し、トランスミッションはフェラーリの7速クイックシフトを採用しています。

この車両は、2,398ccの自然吸気V8エンジンを搭載しており、最高出力を引き出すための設計が施されています。サイズや重量の面でも、F1カーとしての競争力を持ち続けています。総じて、ザウバー・C31は2012年におけるザウバーの努力と革新を象徴する象徴的な車両となりました。

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