ザック・ギルフォード

ザック・ギルフォード

本名をザカリー・ロバート・ギルフォードというザック・ギルフォード（Zac Guildford）は、1989年2月8日にニュージーランドのグレイタウンに生を受けた、かつてウィング（WTB）として活躍したラグビー選手です。身長は182cm、体重は96kg。

彼には「ビリー・ザ・キッド」や「ベイビーG」といった愛称がありました。彼の父ロバートもラグビー選手として活動し、1992年から96年にかけてワイララパ・ブッシュ州代表でプレーした人物でした。父ロバートは2009年に亡くなっています。

キャリアの形成期

ザックが10歳だった1999年、家族とともにネーピアへ移住したことが、彼のラグビーキャリアにおける重要な転機となります。この地で、彼はホークス・ベイ・ラグビー・アカデミー・システムに参加し、才能を磨き始めました。

ネーピア・ボーイズ・ハイスクールを卒業後、彼の才能はすぐに開花します。2007年には19歳以下のニュージーランド代表に選ばれ、同年のラグビージュニア世界選手権に出場。さらに、わずか18歳でホークス・ベイ州代表に名を連ね、ニュージーランド州代表選手権であるエアニュージーランドカップ（現在のITM CUP）にデビューしました。このシーズン、彼は5トライを記録し、チームのセミファイナル進出に貢献しました。

プロフェッショナルとしての歩み

2008年、ザックはスーパーラグビーの前身であるスーパー14の強豪、ハリケーンズに加入。同年に開催されたIRBジュニア世界選手権には、20歳以下の代表として出場しています。

また、ラグビーセブンスの分野でも才能を発揮し、2008年と2009年にはニュージーランドセブンス代表に2年連続で選出されました。そして2009年、彼はラグビー界の最高峰であるオールブラックスに史上最年少で選ばれるという快挙を成し遂げ、11月7日のウェールズ代表戦で念願のデビューを果たしました。

2010年には、スーパーラグビーの所属チームをハリケーンズからクルセイダーズへ移籍。同年には、インドのニューデリーで行われたコモンウェルスゲームのラグビーセブンスニュージーランド代表としてプレーし、チームは金メダルを獲得しました。

2009年の日本、歓喜と悲劇

ザック・ギルフォードのキャリアを語る上で、2009年に日本で開催されたIRBジュニア世界選手権は決して避けて通ることのできない出来事です。

この大会で、ザックはウィングとして驚異的なパフォーマンスを見せ、大会最多となる8トライを挙げてトライ王に輝きました。決勝戦の相手はイングランド代表。ニュージーランドは44対28で勝利し、見事に優勝を飾りました。グラウンド上ではチームメイトとともに歓喜に沸くザック。しかし、その瞬間、観客席で息子の勇姿を見守っていた父ロバートが心臓発作で倒れてしまいます。

父は都内の病院に緊急搬送されました。ともに来日していた母デボラと弟ヴィクター、そして試合を終えたばかりでまだジャージ姿のザックは、急いで病院に駆けつけ、父の傍らに付き添いました。しかし、懸命な治療にもかかわらず、父ロバートは家族が見守る中で永眠しました。

決勝戦で2トライを決め、チームの優勝に大きく貢献したにもかかわらず、試合終了後の表彰式にザックの姿はありませんでした。この「東京の歓喜」の裏で起こった「家族の悲劇」は、彼のその後のキャリアにも大きな影響を与えたと言われています。

ザック・ギルフォードのラグビー人生は、若くして掴んだ栄光と、突然訪れた深い悲しみという、劇的なコントラストに彩られています。

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