ザッピング

ザッピングとは

ザッピングとは、テレビ視聴において、リモコンを使ってチャンネルを頻繁に切り替える行為のことです。

ザッピングの語源

ザッピングの語源はいくつかあります。

背嚢を背負って歩く：元々は、背嚢（zap）を背負って気ままに山や森を歩くことを指していました。産業革命後のヨーロッパでは、工業化された都市生活は不自然と考えられ、休日には自然の中でリフレッシュしようとする動きがありました。この意味が転じて、チャンネルを替えながら、あちこちの番組を視聴する行為を指すようになりました。
チャンネル変更時の音：チャンネルを切り替える際に、放送されていないチャンネルでは「ザー」という音がします。頻繁にチャンネルを切り替えると、「ザッ、ザッ」という音がすることから、ザッピングという言葉が生まれたという説もあります。

ザッピングの歴史

リモコンが普及した初期の頃から、ザッピングは行われていました。大学生を対象とした調査では、1時間に16回もザッピングを行っていたというデータがあります。

ザッピングから発展した視聴行動

ザッピングから発展した視聴行動として、フリッピングというものがあります。

フリッピング：フリッピングとは、アシカなどの前足（flipper）を使った芸の意味から転じて、二股をかける、どっちつかずといった意味を持つアメリカの俗語です。テレビ視聴においては、ザッピングしながら2つのチャンネルの番組を並行して視聴する行動を指します。
ゲームにおけるザッピング：コンピュータゲームでは、複数のキャラクターを切り替えながら操作するシステムのことをザッピングと呼ぶことがあります。

放送局のザッピング対策

視聴者が頻繁にチャンネルを切り替えるザッピングを防ぐため、放送局は様々な対策を講じています。

番組構成の工夫
フライングスタート：番組開始時間を他の局よりも早く始めることで、視聴者を他局に逃さないようにします。
時報を跨いだ番組構成：番組開始時刻を時報と同時にスタートさせ、他局の番組に切り替えられることを防ぎます。
人気コーナーの分散：人気のあるコーナーを番組内に分散させることで、番組全体を通して視聴者を飽きさせないようにします。
ステブレレス編成：CMを挟まずに次の番組を開始することで、ザッピングを防ぎます。
オープニングの遅延：番組のオープニングを遅らせて、すぐに番組本編に入ることで、視聴者の注意を惹きつけます。
番組内容の工夫
画面の明るさ調整：画面を明るくすることで、視聴者の目を引きつけます。
画面の動き：カメラを動かしたり、熱帯魚やCGなどの動くものを配置したり、テロップを挿入したりして、画面に動きをつけます。
CM明けの要約：CM明けに番組内容の要約（リピート、ダイジェスト）を行うことで、チャンネルを変えた視聴者を番組に引き戻します。
他局の動向に合わせたCM挿入：特に平日朝・夕方のニュース番組では、他局のCM挿入タイミングに合わせて自局もCMを挿入する、いわゆる「右へ倣え」方式の番組編成を行うことがあります。これは、視聴者がCM中に他局にザッピングすることを防ぐためです。

ザッピングとテレビ離れ

これらのザッピング対策は、テレビ番組を複雑でわかりづらくしている側面があり、結果としてテレビ離れを加速させているという指摘もあります。視聴者の視聴行動の変化がテレビ局の番組制作に影響を与え、番組制作の変化が視聴者の行動を変化させるという、両者の相互作用が働いていることがわかります。

まとめ

ザッピングは、テレビ視聴の習慣として定着しており、その背景には様々な要因があります。放送局は、ザッピングを防ぐために様々な対策を講じていますが、これらの対策が必ずしも効果的とは限りません。視聴者の視聴行動の変化に対応しながら、より魅力的な番組を制作することが、テレビ業界にとって重要な課題となっています。

出典

茨城大学 村野井均（発達心理学）のブログ - ウェイバックマシン 2002
子どもの発達とテレビ　かもがわ出版

関連項目

朝ドラ殺人事件

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