ザルカーリー

アッ＝ザルカーリー（Al-Zarqali、Abu Ishaq Ibrahim ibn Yahya Al-Zarqali、羅: Arzachel、西: Azarquiel、伊: Azarquiel、1028年 - 1087年）は、11世紀にトレド・タイファ王国（現在のスペイン、アンダルシア地方のトレド）で活躍した、アラブ系の著名な数学者・天文学者です。

人物

ザルカーリーは、理論的な知識と並外れた技術力を兼ね備え、天体観測に使用する様々な機器を自ら製作しました。その中でも特筆すべきは、あらゆる緯度で使用可能なアストロラーベや、一日の時間経過を知るための水時計などです。これらの発明は、当時の天文学研究において非常に重要な役割を果たしました。

ザルカーリーは、プトレマイオスの地理に関するデータ、特に地中海の大きさに関する記述を修正しました。これは、既存の地理学的知識に対する重要な修正であり、彼の精密な観測と分析能力を示すものです。さらに、彼は遠日点が天球上を年間移動することを発見し、その移動速度を1年あたり12.04秒と測定しました。この値は、現代の測定値である11.8秒に極めて近いものであり、彼の観測精度の高さが伺えます。

また、ザルカーリーは有名な天体運行表『トレド表』を作成したことでも知られています。この表は、当時の天文学者にとって非常に貴重な資料であり、天体の位置予測などに広く利用されました。さらに、コプト暦、ローマ暦、ペルシャ暦における月の始まりを求めるための表や、惑星の位置、日食、月食の予測表なども作成し、暦学や占星術の分野にも貢献しました。

ザルカーリーの著作は、12世紀にトレド翻訳学派のクレモナのジェラルドによってラテン語に翻訳され、ヨーロッパのキリスト教国における天文学の発展に大きな影響を与えました。彼の業績は、ヨーロッパの天文学者たちに新たな知識と技術をもたらし、その後の天文学研究の進展に大きく貢献しました。

関連項目

アルフォンソ表
11世紀生まれの天文学者

ザルカーリーの精密な観測と革新的な発想は、11世紀の天文学において重要な足跡を残しました。彼の業績は、後の世代の天文学者たちに多大な影響を与え、天文学の発展に大きく貢献したと言えるでしょう。

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