ザルトリウス

ザルトリウス：精密機器からバイオテクノロジーまでをリードするグローバル企業

ザルトリウス(Sartorius AG)は、ドイツ・ゲッティンゲンに本社を置く、世界的に有名な多国籍企業です。医薬品製造装置や実験室用機器の開発、製造、販売をグローバルに展開しており、ヨーロッパ、アジア、アメリカに生産拠点を持ち、100以上の国と地域に販売網を張り巡らせています。その歴史は古く、精密機器メーカーとしての長い歴史と、バイオテクノロジー分野における革新的な技術開発によって、今日の地位を築き上げてきました。

事業内容：バイオプロセスとラボ製品の二本柱

ザルトリウスは大きく2つの事業部門で構成されています。

バイオプロセス部門 (Bioprocess Solutions): バイオ医薬品の製造工程において必要となる機器類を製造しています。具体的には、ろ過、流体制御、発酵、精製といった工程で使用される高度な機器やシステムを提供しています。この部門は、ザルトリウス全体の売上の約73%を占めており、同社の成長を牽引する中核事業となっています。

ラボ製品部門 (Lab Products & Services): 実験室で使用する機器や消耗品を製造・販売しています。精密天秤やピペット、フィルター、培養器など、幅広い製品群を取り揃えており、研究開発や品質管理など、様々な場面で活用されています。この部門は売上の約27%を担っています。

150年を超える歴史：精密計量からバイオテクノロジーへの進化

ザルトリウスの歴史は1870年に始まります。創業者フロレンツ・ザルトリウスがゲッティンゲン大学で機械工学を学んだことを背景に、「Feinmechanische Werkstatt F. Sartorius」という精密計量機器会社を設立。分析用天秤の製造からスタートし、その後、顕微鏡や望遠鏡用の機器なども扱うようになりました。

1927年にはメンブレンフィルターの工業生産を開始。これが、現在のバイオプロセス部門の礎となりました。その後も、ノーベル化学賞受賞者であるオットー・ハーンらの助言を受けながら、精密天秤やフィルターシステムなどの技術革新を続け、常に業界をリードする存在であり続けました。

20世紀後半には、世界で最も正確な計量を行うナノグラム天秤を開発し、アポロ計画で持ち帰られた月の岩石の計量に使用されるなど、世界的な高い評価を得ました。また、積極的に企業買収を行い、細胞培養技術やタンパク質精製技術を持つ企業を買収することで、バイオプロセス部門の強化を図り、事業拡大を加速させてきました。2007年には、フランスのバイオテクノロジー企業ステディムとの合併を発表。これを機に、バイオプロセス部門はSartorius Stedim Biotech S.A.として独立した企業体となりました。

日本におけるザルトリウス

日本市場においては、「ザルトリウス・ジャパン株式会社」と「ザルトリウス・ステディム・ジャパン株式会社」の2つの法人が活動しています。前者は電子天秤やロードセルなどの計測機器の輸入・販売、後者は濾過用フィルターや超純水製造装置などの医薬品製造用製品の輸入・販売を主な事業としています。両社とも東京にオフィスを構え、日本の研究機関や企業に製品とサービスを提供しています。

未来への展望

ザルトリウスは、今後も継続的な技術革新と戦略的な事業展開によって、バイオテクノロジー、医薬品開発、そして科学研究分野の発展に貢献していくことでしょう。その革新的な技術とグローバルな展開力によって、世界の科学技術を支え続ける企業として、今後の活躍が期待されます。

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