ザ・ガン

ザ・ガン：オーストラリア大陸縦断の旅

ザ・ガン（The Ghan）は、オーストラリアのアデレードからアリススプリングスを経由してダーウィンを結ぶ、象徴的な長距離旅客列車です。オーストラリア大陸を南北に縦断するこの列車は、ジャーニービヨンドレールによって運行され、アリススプリングスでの4時間の停車を含め、2,979キロメートルの距離を約54時間かけて走破します。

名称の由来

「ザ・ガン」という名称は、「アフガン・エクスプレス（The Afghan Express）」というニックネームの省略形です。その由来には二つの説があります。一つは、1923年に乗員の1人であったアフガニスタン人から命名されたという説。もう一つは、19世紀後半にラクダをオーストラリアに持ち込み、内陸部の探検を支援したアフガニスタン人に由来するという説です。

運行

通常、ザ・ガンはアデレード発が日曜日と水曜日、ダーウィン発が月曜日と土曜日の週2往復で運行されています。到着は翌々日となります。運賃は基本的に乗車ごとの計算ですが、アデレードでインディアンパシフィックやジ・オーバーランドに乗り換える場合の特別な運賃設定も存在します。また、大人、子供、学生、バックパッカー向けの運賃が設定されています。

歴史

鉄道建設の構想は植民地時代から存在していました。1878年にポートオーガスタで建設が開始されましたが、難工事と資金難のため、13年間で頓挫。1911年に連邦政府がプロジェクトを引き継ぎ、1929年にアリススプリングスまで線路が延長されました。しかし、さらに北方1,420キロメートル先のダーウィンまでの延伸計画は、一旦保留となりました。

初期

1878年、サウスオーストラリア州知事のウィリアム・ジャーヴォイスがポートオーガスタで鉄道建設に着手。これは後にオーガスタへの政府ゴム鉄道として知られるようになります。3フィート6インチ（1,067 mm）の狭軌の線路は、1880年6月にホーカー、1881年7月にベルターナ、1884年1月にマーリー、そして1891年1月にウードナダッタへと到達しました。アリススプリングスへの開発は1926年まで開始されず、この区間は1929年に完成しました。それまで、列車での旅行の最終行程はラクダに頼らざるを得ませんでした。

ダーウィンまでの路線延長は当初からの計画でしたが、アリススプリングスまでの接続が完了した時点で、ザ・ガンは赤字となっており、ダーウィンへの延長計画は不透明な状況でした。元々のザ・ガンは、電線と同じルートを辿っており、これは1862年にジョン・マクドゥオール・スチュアートがオーストラリアを横断する際に考えたルートでした。

第二次世界大戦中、蒸気機関車による列車運行本数が大幅に増加し、限られた水の供給源への負担が増しました。その結果、井戸水を使用できるようにするため、鉱物分除去タワーが線路沿いに建設され、現在でもその一部が残っています。1970年代に新しい路線が建設された際、機関車がディーゼル機関車になったため、水の必要がなくなり、タークーラからアリススプリングスまでの区間を水のない経路に変更することが可能になりました。

新しい線路

オリジナルのザ・ガンは1980年に最後の走行を行い、現在はザ・ガン保存協会によって保存されています。1980年10月、南オーストラリア州タークーラからアリススプリングスにかけての新しい標準軌が開通し、この日から列車は現在の軌間となりました。新しい線路は、雨による浸食を防ぐため、旧線路のおよそ160キロメートル西を走っています。この新しい線路によって、列車の運行がより定時になることが期待されました。

ダーウィンへの延長

アリススプリングス - ダーウィン間の建設は、スノーウィー山脈計画（1949年-1974年）以来50年間で最大規模の土木プロジェクトと位置づけられました。路線建設は2001年7月に始まり、126年の計画と停滞を経て、13億オーストラリアドルの予算をかけ、2004年2月4日に最初の旅客列車がダーウィンに到着しました。

ザ・ガンがダーウィンに到達したことで、ノーザンテリトリーの観光に新たな時代が到来しました。州内のアボリジニコミュニティへのアクセスが容易になり、この地域を通じた輸送が可能になり、ダーウィンはアジアとの貿易関係で結ばれることが期待されています。

車内設備

ザ・ガンの車内設備は、大きく分けてゴールドカンガルーサービスとレッドカンガルーサービスの2種類があります。

ゴールドカンガルーサービス： 全て個室寝台車で、シングル・キャビン、ツイン・キャビン、デラックス・キャビンの4種類の部屋があります。食事は運賃に含まれており、洗顔セット、ドライヤー、オーディオサービスなどが用意されています。
レッドカンガルーサービス： 開放式の寝台と座席車があります。洗面所とシャワーは各車両に設置されています。

レストランやラウンジも、ゴールドカンガルーサービスとレッドカンガルーサービスで別々に用意されています。また、上記とは別に、チェアーマンズ・カーと呼ばれるプライベート車両の連結を依頼することも可能です。

事故

過去にはいくつかの事故が発生しています。

2002年10月24日、サウスオーストラリア州ソールズベリー市でスクールバスと衝突し、バスに乗っていた4人が死亡しました。
2006年12月12日、ノーザンテリトリーのアデレード川の南35キロメートルの踏切でトラックと衝突し、車両が脱線する事故が発生しました。

まとめ

ザ・ガンは、オーストラリアの壮大な風景を体験できる、忘れられない旅を提供します。その歴史、快適な車内設備、そしてダーウィンへの延伸によって、ザ・ガンはオーストラリアを代表する列車として、これからも多くの人々に愛され続けるでしょう。

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