ザ・グレイテスト・キング

『ザ・グレイテスト・キング』（Il primo re）は、2019年にイタリアとベルギーで製作された歴史アクション映画です。マッテオ・ロヴェーレ監督による作品で、アレッサンドロ・ボルギとアレッシオ・ラピーチェら実力派俳優が出演しています。本作は、古代ローマ建国神話の主人公である双子の兄弟、ロムルスとレムスの物語を題材としています。

物語は、紀元前8世紀半ばのイタリア半島を舞台に展開します。羊飼いの生活を送っていた双子の兄弟ロムルスとレムスは、突然の洪水によって全てを失い、アルバロンガ国の兵士たちに捕らえられて奴隷として扱われます。しかし、彼らは絶望せず、奴隷仲間と共に反乱を起こし、自由を勝ち取ります。この反乱の中で、ロムルスは重傷を負いますが、レムスは献身的に兄を支えながら、仲間たちのリーダーとしての役割を果たしていきます。

しかし、彼らと共に逃亡した巫女の予言が兄弟の運命を大きく変えます。巫女は、「兄弟のうちの一方がもう一方を殺し、生き残った者が王となる」と予言したのです。この予言を知ったレムスは深い苦悩に陥ります。ロムルスはレムスに自分を殺すように訴えますが、レムスは兄弟を殺すことができません。レムスは巫女の予言と神の存在そのものを否定し、自らが王となることを宣言します。そして、彼は滞在していた集落の長を殺害し、家々に火を放つなど、暴虐の限りを尽くし、部下たちを引き連れてその地を去ります。

一方、取り残されたロムルスは、失われた火を復活させることで集落の新しい長となり、人々と共に新たな地を求めて旅立ちます。旅の途中でアルバロンガ国の騎兵隊を発見したロムルスは、レムスたちが危険にさらされていることを察知します。「真の自由を得るためには、アルバロンガを倒さなければならない」と人々を説得し、レムスたちを救出に向かいます。

レムスたちはアルバロンガの兵士たちと激しい戦闘を繰り広げていました。次々と仲間が倒れていく中、ロムルス率いる一行が彼らの前に現れます。兄弟は協力してアルバロンガの兵士たちを撃退しますが、最終的にはロムルスとレムスは王位を巡り、決闘することになります。壮絶な死闘の末、ロムルスはレムスを倒し、レムスはロムルスの腕の中で息絶えます。

ロムルスは生き残った人々を率いて新たな地へと進み、やがてローマを建国します。この物語は、ローマ建国という偉大な歴史的出来事の背景に潜む、兄弟間の葛藤と、力強いリーダーシップ、そして運命の残酷さを描き出しています。映画『ザ・グレイテスト・キング』は、歴史的事実と神話的要素を巧みに融合させた、迫力ある映像とドラマチックな展開で、観る者を古代ローマの世界へと誘います。日本では劇場公開されませんでしたが、WOWOWでの放送で、多くの視聴者によってその魅力が伝えられました。

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