ザ・コンピニオン

『ザ・コンピニオン』は、1982年4月4日から1983年3月にかけて、朝日放送（ABC）の制作によりテレビ朝日系列で放送された、先進的な情報番組でした。毎週日曜日の午前8時30分から9時までの30分間にオンエアされ、コンピュータメーカーである富士通の一社提供番組として知られています。

この番組の最大の特徴は、当時としては画期的な試みであった、電話回線を用いた会員制アンケートシステムを核としていた点にあります。番組タイトルである「コンピニオン」は、「コンピュータ」と「オピニオン」（意見）を組み合わせた造語であり、そのコンセプトを端的に示しています。あらかじめ登録された会員層に対し、毎週3～4問程度の選択肢形式の質問が出題されました。質問内容は多岐にわたり、その時期の季節の話題や社会的なイベントに関連するものから、一般的な習慣に対する意見、当時の社会情勢に対する考察を求めるものまで、幅広いテーマを取り扱っていました。

番組は朝日放送の本社スタジオから生放送されました。司会は関口宏氏が担当し、アシスタントを大島智子氏が務めました。これに加えて、毎週異なるゲストパネラーが一人招かれ、司会者と共に番組を進行しました。番組の進行スタイルは独特で、関口氏とゲストパネラーがトークを交わす間に、電話回線を通じて集計された会員からのアンケート回答結果が、スタジオに設置された当時の富士通製パーソナルコンピューター、FUJITSU MICRO 8やFUJITSU MICRO 7の画面にリアルタイムで表示されるというものでした。これにより、視聴者は生放送中に「まさに今」の世論や人々の考えを視覚的に把握することができ、リアルタイムでの世論の動向を示す画期的な試みとして注目されました。

制作局である朝日放送は、この番組で培ったアンケートシステム技術を応用し、近畿地方向けのローカルバラエティー番組『電話でドン！』も制作・放送していました。また、富士通の一社提供番組であったため、番組放送時間中には富士通グループ各社の企業CMが頻繁に放映されていました。

『ザ・コンピニオン』は、約1年間の放送期間を経て、1983年4月からは『ハロー!コンピニオン』へと名称と内容を一部改め、リニューアルされました。この後継番組は、同年9月まで放送が続けられました。

ネット局については、制作局である朝日放送テレビ（当時は朝日放送）をはじめ、主にテレビ朝日系列の局で同時ネットされました。特筆すべきは、通常フジテレビ系列である富山テレビでも同時ネットが行われていた点です。制作局の朝日放送テレビでは、夏の全国高校野球選手権大会の中継が優先された日は番組が休止され、系列局向けに裏送り対応が行われていましたが、生放送であったため、後日改めて関西ローカルで放送されたかどうかは確認されていません。また、鹿児島放送は番組の放送期間中にあたる1982年10月1日に開局したため、開局直後の10月3日からネットを開始しています。このように、『ザ・コンピニオン』は、当時の最新技術であったコンピュータと電話回線を活用し、視聴者の意見をリアルタイムに反映させることで、情報番組の新たな可能性を示した画期的な番組でした。

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