ザ・サバーブス

『ザ・サバーブス (The Suburbs)』は、カナダのロックバンド、アーケイド・ファイアが2010年8月にリリースした3枚目のアルバムです。マージ・レコードから発売され、アイルランドのアルバムチャートで1位を獲得したのを皮切りに、全英チャート、ビルボード、そしてカナダなど、各国のチャートを制覇しました。特に、ビルボードでの1位獲得は、同レーベルからのリリース作品としては初の快挙となりました。

本作は、第53回グラミー賞において最優秀オルタナティヴ・アルバムにノミネートされ、アルバム収録曲「レディ・トゥ・スタート (Ready to Start)」も最優秀ロック・パフォーマンス(デュオ/グループ)にノミネートされました。さらに、主要部門の一つである年間最優秀アルバム賞を受賞し、音楽業界で高い評価を得ました。

アルバム概要

アルバムのタイトル曲であり、リードトラックでもある「The Suburbs (郊外)」は、元々ウィン・バトラーが構想していたSF映画に由来しています。この楽曲は、当時の郊外での生活、友人との関わり合いといった記憶や感情がインスピレーションとなっています。しかし、単に過去への憧憬を描いているのではなく、あくまで"今"を基点として、郊外というテーマをリアリスティックに捉えている点が、アルバム全体のコンテクストを決定づけています。

批評家からは、全体的に好意的な評価を受けています。BBCのマイク・ダイヴァーは、「本作は彼らにとっての『OK コンピューター』に相当する到達点とも言えるだろう。しかしおそらくは、それよりもっと素晴らしいものなのだ」と評しました。この評価は、本作がバンドにとって重要な作品であることを示唆しています。日本国内でも、「rockin'on」誌や「CROSSBEAT」誌で2010年のベスト・アルバムとして、それぞれ1位と2位に選ばれるなど、高い評価を得ています。

また、本作は、2005年にV2ジャパン/コロムビアからリリースされた『フューネラル』以来となる、歌詞対訳と解説が付属した日本国内流通盤がリリースされました。海外盤には、それぞれ異なる写真を用いた8種類のジャケットが存在することも特徴です。

収録曲

1. ザ・サバーブス / "The Suburbs" - 5:14
2. レディ・トゥ・スタート / "Ready to Start" - 4:15
3. モダン・マン / "Modern Man" - 4:39
4. ロココ / "Rococo" - 3:56
5. エンプティ・ルーム / "Empty Room" - 2:51
6. シティ・ウィズ・ノー・チルドレン / "City with No Children" - 3:11
7. ハーフ・ライトⅠ / "Half Light I" 4:13
8. ハーフ・ライトⅡ (ノー・セレブレーション) / "Half Light II (No Celebration)" - 4:25
9. サバーバン・ウォー / "Suburban War" - 4:45
10. マンス・オブ・メイ / "Month of May" - 3:50
11. ウェイステッド・アワーズ / "Wasted Hours" - 3:20
12. ディープ・ブルー / "Deep Blue" - 4:28
13. ウィー・ユーズド･トゥ･ウェイト / "We Used to Wait" - 5:01
14. スプロールⅠ (フラットランド) / "Sprawl I (Flatland)" - 2:54
15. スプロールⅡ (マウンテンズ・ビヨンド・マウンテンズ) / "Sprawl II (Mountains Beyond Mountains)" - 5:25
16. ザ･サバーブス (コンティニュード) / "The Suburbs (continued)" - 1:27

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