ウィン・バトラー

ウィン・バトラー（Win Butler）は、アーケイド・ファイアの創設メンバーとして知られています。本名はエドウィン・ファーナム・バトラー3世（Edwin Farnham Butler III）で、1980年4月14日生まれ。彼はバンドでメインボーカルを務めるだけでなく、ギターやベースも演奏します。作詞作曲においても中心的な役割を果たしており、実質的にバンドのリーダーと言える存在です。ただし、ウィン自身は「リーダー」という呼称を好みません。

彼の音楽的なルーツは、ピクシーズ、ニュー・オーダー、ザ・キュアーといったオルタナティブ・ロックにあります。これらのバンドからの影響が、アーケイド・ファイアの音楽性の基盤となっています。また、祖父がジャズギタリストのアルヴィノ・レイ、祖母と母親も音楽活動をしていたという音楽一家で育ったこと、そして妻であるレジーヌ・シャサーニュがジャズやクラシック音楽を好むことも、ウィンの音楽性に多大な影響を与えています。レジーヌもまた、バンドの創設メンバーであり、メインソングライターとして活躍しています。2人は2003年に結婚しました。ちなみに、声優のカム・クラークは遠縁にあたります。

アメリカのテキサス州で生まれたウィンは、15歳でフィリップス・エクセター・アカデミーに入学。当初は映画製作に関心がありましたが、サラ・ローレンス大学でクリエイティブ・ライティングや写真撮影を学んだ後、大学を離れ、2001年にカナダのマギル大学へ入学しました。彼の愛読書は、ジョージ・オーウェルやフョードル・ドストエフスキーの作品です。

ステージ上では、他のメンバーと共にエネルギッシュなパフォーマンスを繰り広げるウィンですが、ステージ外ではショーマンシップを発揮することを好みません。彼はロック・スター的な振る舞いを避け、商業主義的な側面にも批判的な立場を取っています。NME誌に掲載されたインタビュー記事では、U2やオアシスといった著名ミュージシャンの商業主義的な側面を批判しましたが、後に公式サイトで「NMEの記事は文脈を欠いている」とコメントし、マーケティング自体を否定しているわけではないと述べています。その際、ジョージ・オーウェルの言葉を引用し、「いかなる著作物も政治的バイアスから全くの無関係ではいられない。芸術は政治に関わるべきでないという主張は既にそれ自体政治的である」と語っています。

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