ザ・サマーズ

ザ・サマーズ（The Sommers）

1960年代後半の日本の音楽シーンにおいて、一際輝きを放ったグループ・サウンズ（GS）の一つに、ザ・サマーズが挙げられます。北海道の室蘭市で1967年に結成されたこのバンドは、短い活動期間ながらも、その楽曲や活動はGS史において重要な足跡を残しました。およそ3年間の活動を経て、1970年頃に惜しまれつつ解散しています。

バンドの中心となったのは、個性豊かなメンバーたちでした。ボーカルは橋アキラと寺内英雄の二人が担当し、サウンドの要であるギターは北順、ベースは初期及び末期に塩川輝雄（別名・塩川銀次）、中期には沢ケンジが務めました。ドラムスは牧ツトム、そしてオルガンを井上マサシが担当するという編成でした。彼らは各地でライブ活動を行い、その音楽性を磨いていきました。

ザ・サマーズにとって大きな転機となったのは、1968年春に自主制作で発表したシングルでした。このレコードが日本の大手レコード会社である日本コロムビアの目に留まり、彼らはメジャーデビューのチャンスを掴みます。同年10月、日本コロムビアが新たに立ち上げたDENONレーベルの記念すべき第一弾アーティストとして、シングル「たった一言」で正式にデビューを飾りました。このデビュー曲は、彼らの本拠地である北海道を中心に約5千枚を売り上げ、オリコンチャートで96位にランクインするなど、まずまずの成功を収めました。

しかし、GSブームが終息に向かう波に乗り、ザ・サマーズは1970年頃に活動を終えます。バンドの解散後、メンバーたちはそれぞれの音楽活動を続けました。ボーカルの橋アキラとドラムスの牧ツトムは、人気GSバンド、ジャガーズに加入。ギターの北順とベースの塩川輝雄は、元ダイナマイツのメンバーと共に結成されたニュー・ダイナマイツに参加しました。さらに、塩川と牧はチャコとヘルス・エンジェルというバンドでも活動するなど、彼らのキャリアはGS時代を超えて続いていきました。

時を経て、ザ・サマーズへの再評価の動きや、彼らの音楽を再び聞きたいというファンの声が高まる中で、バンドは新たな展開を迎えます。2007年8月には、ベースの塩川輝雄を中心に再結成が実現し、かつてのサウンドを再び披露する機会が生まれました。また、GS研究が進む中で、長年陽の目を見なかった音源も発掘されました。2013年12月に発売されたオムニバスCDアルバム「GSガレージ・パラダイス」には、ザ・サマーズが1968年に録音しながらも、シングルのB面に採用されず未発表のまま眠っていた「ロンリーガール」と「二人の愛」の2曲が初めて収録され、多くのGSファンを喜ばせました。

ザ・サマーズの公式なディスコグラフィーとしては、メジャーデビュー前に発表された自主制作シングル「朝から晩まで / あなたのそばが」（1968年）、日本コロムビアからのメジャーシングル「たった一言 / 今も…」（1968年10月）、そして「悲しみの跡 / 恋の終わりが好きさ」（1969年3月）の3枚のシングル盤があります。これらの楽曲は、当時のGSサウンドの特徴を持ちながらも、彼ら独自のカラーを放っていました。前述の通り、2013年のオムニバス盤には貴重な未発表音源が追加され、彼らの音楽遺産に新たな光が当てられています。

ザ・サマーズの活動期間は短かったものの、北海道から全国へと羽ばたき、メジャーデビューを果たしたこと、そして解散後もメンバーが他の著名なバンドで活躍したこと、さらには時を経て再結成や未発表音源の発掘に至ったことは、彼らが日本のグループ・サウンズ史の一角を確かに担っていたことを示しています。参考文献としては、GS専門の書籍や、音源の解説などが彼らの軌跡をたどる手がかりとなっています。

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