ザ・ディープ (1977年の映画)

『ザ・ディープ』（1977年）は、ピーター・ベンチリーの小説を映画化したアメリカとイギリス合作の冒険映画です。監督はピーター・イェーツ、主演はロバート・ショウ、ジャクリーン・ビセット、ニック・ノルティといった豪華俳優陣が名を連ねています。美しくも危険なバミューダ諸島を舞台に、新婚旅行中のカップルが、海底で発見した沈没船を巡る陰謀に巻き込まれていく物語です。

物語は、新婚夫婦デヴィッドとゲイルがスキューバダイビング中に、2隻の沈没船を発見するところから始まります。彼らは、スペイン銀貨と思われるメダルと、黄色い液体の入ったガラスのアンプルを海底から持ち帰ります。

その夜、宝石商を名乗る男、デュポンが彼らのもとを訪れ、アンプルの買い取りを申し出ますが、二人はアンプルの存在を否定します。しかし、翌日、図書館でスペイン銀貨について調べた二人は、世捨て人のように暮らす海洋学のプロ、ローマー・トリースの存在を知ります。トリースは沈没船に精通している人物でしたが、メダルについては興味を示さず、二人は追い返されてしまいます。

帰路についた二人は、謎の男たちに拉致され、廃屋に監禁されます。そこにはデュポンがおり、彼は麻薬組織のボス、クローシュであることが明らかになります。クローシュはアンプルの奪取を企てますが、アンプルは既にトリースによって盗まれていました。脅迫された二人は解放されますが、アンプルの謎は深まるばかりです。

アンプルの真相を確かめるため、二人は再びトリースを訪ねます。トリースは、港で働く老水夫、アダム・コフィンに二人を紹介します。コフィンはアンプルを見て激しく動揺し、その中身が、第二次世界大戦中に難破した貨物船ゴライアス号に積まれていたモルヒネであることを明かします。彼はゴライアス号の唯一の生き残りだったのです。クローシュ一味は、数万本にのぼるモルヒネを狙っていたのです。

トリースは麻薬を憎んでおり、クローシュ一味にモルヒネを渡さないために、ゴライアス号を爆破しようと計画していました。しかし、デヴィッドは、爆破によって財宝探索の機会を失うことを懸念します。デヴィッドはトリースと共にゴライアス号の周辺を調査し、スペイン王の財宝の存在を示唆する証拠を発見します。

トリースは、クローシュ一味の注意を逸らすため、大量のモルヒネアンプルをおとりとして利用することを思いつきます。彼はクローシュと取引し、回収したモルヒネを自宅の灯台に隠します。そして、爆破の準備を進めます。クローシュは、モルヒネ以外にも何かがあることに気づき、アダムに接近します。

やがて、2隻の沈没船とスペイン王の財宝の謎が解き明かされていきます。スリリングな展開と、美しいバミューダ諸島の風景、そしてドナ・サマーが歌う主題歌「Down Deep Inside」も作品の魅力となっています。1977年のアメリカでの興行収入は7位を記録するなど、大ヒットを記録しました。この映画は、海底探検、陰謀、そして財宝探しといった様々な要素が絡み合い、最後まで目が離せない作品となっています。

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