ザ・ファン

『ザ・ファン』は、ピーター・エイブラハムズが1995年に発表した小説で、熱狂的な野球ファンが引き起こす狂気の沙汰を描いたサスペンス作品です。日本では1996年に早川書房から中津悠の翻訳で出版されました。

あらすじ

ギルは、サンフランシスコ・ジャイアンツのスラッガー、ボビー・レイバーンを熱烈に応援する男。離婚した妻エレンとの間にいる息子リッチーを、ジャイアンツの開幕戦に連れて行こうと約束していました。しかし、仕事の都合で約束を果たせず、リッチーを置いてけぼりにしてしまいます。激怒したエレンは裁判所に訴え、ギルは息子への接近禁止命令を受けることに。

さらに会社も解雇され、失意のどん底に突き落とされたギルにとって、ボビーは唯一の心の支えでした。しかし、ボビー自身も深刻なスランプに陥ってしまいます。ギルはボビーを励ますため自宅に電話をかけますが、なんとボビー本人が電話に出て話を聞いてくれたことで、ギルはボビーへの親近感をより一層強く抱くようになります。そして、ボビーのスランプの原因は、チームメイトでありライバル打者のプリモの存在だと考えるようになったギルは、ついにプリモを刺殺するという凶行に及びます。

プリモ殺害後、ボビーはスランプから脱出しますが、今度はボビーの息子が海で溺れているところをギルに助けられるという事件が起こります。しかし、ギルはそのまま息子を誘拐。ギルはボビーに電話をかけ、「俺のためにホームランを打て。さもなければ息子を殺す」と脅迫するのでした。

登場人物

ギル: ボビーを狂信的に愛するファン。失意の中、次第に狂気に染まっていく。
ボビー・レイバーン: サンフランシスコ・ジャイアンツの人気スラッガー。スランプに苦しむ。
エレン: ギルの元妻。ギルの異常な行動に警戒心を抱いている。
リッチー: ギルとエレンの息子。
プリモ: ボビーのチームメイトでありライバル。

出版情報

ISBN 978-4152080233

映画化

1996年には、トニー・スコット監督、ロバート・デ・ニーロとウェズリー・スナイプス主演で映画化されました。映画版では、小説版から設定やストーリーが一部変更されています。

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