ザ・フライ2 二世誕生

『ザ・フライ2 二世誕生』（1989年）は、1986年の映画『ザ・フライ』の続編であり、前作でハエと融合してしまった科学者セス・ブランドルの遺児マーティンが、父親と同じ運命に翻弄される姿を描いたSFホラー映画です。

概要

前作の監督であるデヴィッド・クローネンバーグは本作には関与せず、前作で特殊メイクを担当したクリス・ウェイラスが監督と特殊メイクを兼任しました。オリジナル版『蠅男の恐怖』の続編『蝿男の逆襲』と大筋は似ていますが、ストーリーは大幅に脚色されています。前作でステイシス・ボランズ役を演じたジョン・ゲッツは続投していますが、ヴェロニカ・クエイフ役のジーナ・デイヴィスは降板しました。

ストーリー

前作の事件から数カ月後、ヴェロニカはマーティンを出産しますが、異常な出産によって命を落とします。バートック企業の代表アントン・バートックは、マーティンを養子として育てます。マーティンは特殊な染色体のため、驚異的な成長と天才的な頭脳を発揮します。彼は転送実験によって恐ろしい姿に変貌した犬を目撃し、テレポッドの研究に没頭するようになります。

成長したマーティンは、テレポッドの研究を進める中で、夜間勤務の職員ベス・ローガンと親しくなります。しかし、彼は2年前の犬が実験標本として生きていることを知り、安楽死させます。その後、ベスとの関係を深めるマーティンですが、自身の体に異変が起きていることに気づきます。

彼は、幼い頃から打たれていた注射が原因で体が変異していることを知り、転送実験で健康な人間の遺伝子と入れ替えることを考えます。しかし、ベスはマーティンの寝室に隠しカメラがあることを知り、バートックが最初からマーティンを実験材料として見ていたことを知ります。

研究所を脱走したマーティンは、父の知り合いであるステイシス・ボランズの家を訪れ、テレポッドに救いの道があることを示唆されます。モーテルに逃げる2人でしたが、マーティンの変態は急激に進み、バートック企業に引き渡されてしまいます。そして、遂にマーティンは6本脚の巨大な蠅男に羽化し、復讐を開始します。

バートックを捕らえたマーティンは、彼をテレポッドの中へ引きずり込み、ベスがEnterキーを押すと、元の姿のマーティンと異形の怪物と化したバートックが現れます。かつて畸形の犬が繋がれていた標本室で、バートックだった生き物はエサの入った容器に這って行き、容器に1匹のイエバエが留まっていました。

キャスト

マーティン・ブランドル：エリック・ストルツ
ベス・ローガン：ダフネ・ズニーガ
アントン・バートック：リー・リチャードソン
ステイシス・ボランズ：ジョン・ゲッツ

製作

『ザ・フライ』の大成功後、ティム・ルーカスはクローネンバーグに続編の案を提出することを打診しましたが、実現しませんでした。その後、ミック・ギャリス、ジム・ウィート、ケン・ウィート、フランク・ダラボンらが脚本を担当し、クリス・ウェイラスが監督を務めることになりました。

ウェイラスは、マーティンの変貌について、前作のセス・ブランドルとは異なり、最初からハエのDNAが統合された新種として誕生するため、虫としての進化をすると語っています。また、本作の本質を「単純な復讐計画」であるとし、バートックの冷酷さに対する正義の実行として、彼自身が実験体にされる結末を評価しています。

評価

レビューサイトRotten Tomatoesでは、批評家からの支持率は29%と低い評価を受けていますが、特殊メイクは評価されています。ニューヨーク・タイムズのジャネット・マスリンは、不快感だけが前作に匹敵すると評し、最後の30分は特殊効果ショーに退化すると批判しました。

主演のエリック・ストルツにとっては大切な映画であり、観客がスクリーンに向かって叫んでいたというエピソードを語っています。

コミックでの続編展開

2014年にはコミックとして続編「The Fly: Outbreak」が出版されました。この続編では、マーティンが誤って遺伝子組み換え病原体を作成し、人々をハエとヒトのハイブリッドに変えてしまうというストーリーが描かれています。コミック版は、映画版とは異なる展開を見せています。

映像商品

日本では、ビデオカセット、レーザーディスク、DVDなどが発売されています。

音楽商品

オリジナル・サウンドトラック盤CDが発売されています。

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