ザ・マミーズ

ザ・マミーズ

1960年代後半、日本の音楽シーンを席巻したグループ・サウンズ（GS）の一角を担ったバンドの一つに、ザ・マミーズ（The Mammys）がいる。彼らは主に1968年頃に活動を行い、当時のミノルフォン・レコードから作品をリリースしていた。

バンドの活動期間は短かったものの、そのユニークな名前と、後に日本の音楽史において重要な役割を果たすメンバーを擁していたことから、後世においても語り継がれる存在となっている。

メンバー構成

ザ・マミーズは、以下の7名で構成されていた。

田端 義継（ボーカル）
著名な歌手、田端義夫氏のご子息である田端義継氏がボーカルを担当した。バンド解散後、彼はレイ・田端名義でのソロキャリアをスタートさせた。
藤原 喜久男（ボーカル）
もう一人のボーカリスト、藤原喜久男氏も特筆すべき存在だ。ザ・マミーズでの活動を終えた後、彼はピート・マック・ジュニアと名義を改め、ソロアーティストとして活躍。特に、アニメ史に燦然と輝く名作『ルパン三世』のテーマ曲を歌唱したことでも知られている。
後藤 哲也（キーボード）
岩本 一仁（ギター）
伊藤 一二三（ギター）
岡田 哲也（ベース）
吉井 克己（ドラムス）

ボーカルを二人体制としていた点が、当時のGSバンドの中でも特徴的であったと言える。

ディスコグラフィー

ザ・マミーズが公式にリリースした作品は、後世に残るただ一枚のシングル盤のみである。彼らの活動期間の短さを物語っている。

シングル「ブーガルーNo.1／二人のブーガルー」
発売日: 1968年8月10日
レーベル: ミノルフォン

1968年にミノルフォンから発売されたこのシングルには、A面に「ブーガルーNo.1」、B面に「二人のブーガルー」が収められていた。当時の流行であったダンスナンバー「ブーガルー」を取り入れたこれらの楽曲は、短期間ながら彼らの存在を音楽シーンに刻んだ。このシングル盤は、現在では中古市場でも希少価値が高く、コレクターズアイテムとなっている。

後年の評価と再発

バンドの活動期間は短かったが、その存在は音楽ファンの間で完全に忘れ去られたわけではなかった。特にGS研究家やコレクターの間では、彼らの唯一のシングルは貴重な音源として知られていた。

そして2001年、キングレコードから発売されたコンピレーションCD『カルトGSコレクション ミノルフォン編 恋のサイケデリック』において、ザ・マミーズの楽曲は再び日の目を見た。このCDには、前述の唯一のシングル「ブーガルーNo.1」と「二人のブーガルー」が正規音源として収録されただけでなく、当時の未発表音源である「レモンの太陽（二人のブーガルー）」のNGテイク、「ブーガルーNo.1」のNGテイクという大変貴重な音源も初めて収録された。これにより、ザ・マミーズの音楽がより多くの音楽ファンの耳に届くこととなり、再評価が進んだ。

結論

ザ・マミーズは、1968年という日本のグループ・サウンズ全盛期に彗星のごとく現れ、短期間で姿を消したバンドである。しかし、そのメンバーには後の音楽シーンで重要な足跡を残す人物が含まれており、唯一残されたシングルと、後年のコンピレーションCDによる発掘によって、彼らの音楽は現在でも聴くことができる。短命ながらもその後の日本の音楽界に影響を与えたメンバーを擁し、唯一のシングルを通して1968年という時代の空気感を伝える、ザ・マミーズは日本のグループ・サウンズ史において見逃せないバンドの一つと言えるだろう。

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