ザ・レポート

『ザ・レポート』について

『ザ・レポート』（原題:The Report）は、2019年に公開されたアメリカのドラマ映画です。ブッシュ政権下におけるCIAの拷問行為と、後のオバマ政権でのその調査をテーマにしており、スコット・Z・バーンズが監督を務め、アダム・ドライヴァーが主演を務めています。日本では劇場公開はされませんでしたが、Amazonプライム・ビデオで視聴可能です。

あらすじ

物語の中心となるのは、アメリカ合衆国上院の調査スタッフ、ダニエル・J・ジョーンズです。彼はダイアン・ファインスタイン上院議員からCIAの勾留および尋問プログラムに関する調査チームのリーダーに任命されます。この時、ジョーンズ率いる6人のチームは、CIA職員との接触を禁じられ、600万ページ以上にも及ぶ文書の分析をスタートします。

物語はフラッシュバックを通じて、2001年のアメリカ同時多発テロ後、CIAが容疑者に対する厳しい取り調べを強化した時期に遡ります。翌年、CIAに雇われた心理学者のジェームズ・ミッチェル博士とブルース・ジェッセン博士は、拷問と称される「強化尋問技術」を導入します。

ジョーンズはFBI捜査官のアリ・スーファンと面会し、加えてCIA文書を調査する中で、容疑者が重要性を偽られて拷問されたことを明らかにします。また、医療助手のレイモンド・ネイサンがひそかにジョーンズに接触し、CIAによる水責めの実態を証言します。チームはブッシュ大統領がCIAの拷問の情報を隠されていたこと、そしてCIA自身が内部調査を行い、2009年に内部報告書を作成したことを突き止めます。

メディアでは拷問によって重要な情報が得られたと主張されていましたが、実際には拷問に先立って情報が既に入手されていた事実が浮かび上がります。5年かけて作成された6000ページを超える報告書は、CIAの阻害により公表が危ぶまれることになり、その過程でチーム内には辞職者も出ます。そしれ、CIAは内部報告書がハッキングされたと訴える動きを見せます。

ジョーンズはニューヨークタイムズの記者に接触し、一部の情報をリークします。その後、CIAは訴追を取り下げますが、議会では共和党が多数を占めるようになり、ホワイトハウスとの取引により報告書の公開がますます困難になります。ジョーンズは再び記者と接触し報告書のリークを促されますが、これを拒否します。

キャスト

映画には、アダム・ドライヴァー（ダニエル・J・ジョーンズ役）、アネット・ベニング（ダイアン・ファインスタイン役）、ジョン・ハム（デニス・マクドノー役）をはじめとする実力派俳優が揃い、緊迫感のある演技を披露しています。

製作と公開

本作は2018年4月に製作が発表され、主要撮影はニューヨークで行われました。サンダンス映画祭でのプレミア上映を経て、2019年11月に全米公開され、同年の11月29日にはAmazonプライム・ビデオで配信が開始されました。

評価

『ザ・レポート』は批評家から高い評価を受けており、Rotten Tomatoesでは批評家支持率86%、平均点7.99を記録しています。映画は、アメリカの歴史における暗い一面を掘り起こし、ある公務員が忠実に職務を全うする姿を誇張のない形で描いています。観客に深い印象を残す作品となっています。

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