ザール (国際連盟管理地域)

ザール盆地地域

ザール盆地地域（ドイツ語: Saarbeckengebiet、フランス語: Territoire du Bassin de la Sarre）は、1920年から1935年までの15年間、ヴェルサイユ条約に基づき国際連盟の管理下に置かれた地域です。現在のドイツ連邦共和国ザールラント州に相当します。

歴史的背景

第一次世界大戦後、ヴェルサイユ条約によって、ザール地域は石炭資源が豊富な工業地帯として、15年間国際連盟の管理下に置かれることになりました。これは、ドイツの賠償の一環としてフランスに石炭の採掘権を与えるとともに、地域の将来を住民の意思によって決定させるという意図がありました。

国際連盟は、ザール地域を管理するために施政委員会を設置しました。施政委員会は5人の委員で構成され、そのうち1人はフランス人、1人は地元ザール地域の非フランス人、残りの3人はフランス・ドイツ以外の国のメンバーから選出されました。施政委員会の委員長が地域を代表し、行政、経済、社会など、地域のあらゆる側面を管理しました。

ザール地域は、国際連盟の管理下で独自の通貨や切手を発行するなど、半ば独立した状態でした。しかし、経済的にはフランスへの依存度が高く、フランスはヴェルサイユ条約で得た炭鉱の権利を活用して炭鉱開発を進め、フランス語教育を行う学校を設置するなど、文化的な影響力も強めました。1923年6月からは、通貨がフランス・フランに統一されました。

住民投票とドイツへの復帰

1933年にドイツでナチス党が政権を掌握すると、反ナチスの人々がナチスの影響を逃れてザール地域に避難しました。彼らはザール地域が国際連盟の管理下にとどまることを望み、そのための活動を行いましたが、ザール地域の住民感情は複雑でした。

1935年1月13日、ザール地域の帰属を決定するための住民投票が実施されました。投票率は98%と非常に高く、その結果はドイツ帰属が90.73%、フランス帰属が0.4%、現状維持が8.86%でした。圧倒的な多数がドイツへの復帰を支持したのです。

この結果を受け、1935年1月17日に国際連盟理事会はザール地域のドイツ復帰を承認し、同年3月1日にザール地域はドイツに復帰しました。

その後

第二次世界大戦後、ザール地域は再びフランスの管理下に置かれましたが、1957年にドイツ連邦共和国に編入され、現在のザールラント州となりました。

関連項目

国際連盟
ザールラント州
* ザール (フランス保護領)

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