シウダダノス

シウダダノス（Ciudadanos）：スペインの台頭と挫折

シウダダノス（C's、市民党）は、スペイン、特にカタルーニャ州で活動する政党です。カタルーニャ独立や自治権拡大に強硬に反対する立場をとり、その姿勢は国民党（PP）をも凌駕するほどです。中道右派と分類されることが多いものの、自身は中道左派、ポスト・ナショナリズムを標榜し、自由主義と社会民主主義を融合させた政策を掲げています。

誕生とカタルーニャ州での活動

2006年、バルセロナの知識人グループによって設立されました。創設メンバーには劇作家、作家、ジャーナリストなどが名を連ね、カタルーニャ・ナショナリズムへの反発が結党の動機の一つでした。当初はカタルーニャ州議会選挙への参加が中心でしたが、徐々に存在感を増していきます。

初期の選挙では、党首アルベール・リベラ氏のインパクトのある選挙ポスター（全裸で股間を隠す写真）も話題を呼びました。しかし、得票率は低迷し、州議会での議席数も限られていました。欧州議会選挙では、リベルタスとの選挙協力に踏み切りましたが、目立った成果は得られませんでした。

2010年代に入ると、カタルーニャ独立運動の高まりと既存政党への反発を背景に、シウダダノスの支持率は上昇。2012年のカタルーニャ州議会選挙では9議席を獲得し、存在感を示しました。

全国政党への転換と隆盛

2013年、シウダダノスはカタルーニャ州外への進出を宣言し、全国政党を目指します。2014年の欧州議会選挙で議席を獲得すると、Twitterなどのソーシャルメディアを駆使した積極的な情報発信で支持を拡大。2015年前半には、ポデモス、スペイン社会労働党(PSOE)、国民党(PP)に次ぐ第4勢力にまで成長しました。

2015年のスペイン議会総選挙では40議席を獲得、国民党、社会労働党、ポデモスに次ぐ第4党となりました。しかし、その後は低迷期に入ります。2016年の再選挙では議席を減らし、2019年の総選挙でも大きく議席数を落としてリベラ党首が辞任。その後も地方選挙での敗北が続き、2021年にはマドリード自治州議会選挙で全議席を失うなど、党勢は大きく後退しました。2023年には党首交代が行われ、新たな体制で再建を目指しています。

政策とイデオロギー

シウダダノスは経済政策と社会問題の双方でリベラルな立場をとっていますが、政治的言説は中道とされています。カタルーニャ語とスペイン語の平等な扱い、中央政府の権限強化、地域行政機関の権限削減などを主張。また、売春、マリファナ、安楽死の合法化も支持しています。

しかし、そのイデオロギーは一貫しておらず、中道右派と左派の政策が混在しているとの批判もあります。「右派のポデモス」と呼ばれることもありました。また、親EU路線を貫き、フランスの共和国前進との関係強化も図っています。

論争と批判

シウダダノスは、カタルーニャ独立主義者から激しい批判を受けてきました。党首リベラ氏の過去に国民党員であったという疑惑、メディアへの露出度の不均衡、死の脅迫を受けたという主張など、様々な論争がありました。

まとめ

シウダダノスは、カタルーニャ独立への反対とスペイン統一という明確な立場、積極的な情報発信戦略で、短期間に大きな影響力を持つ政党となりました。しかし、イデオロギーの曖昧さと内部抗争、選挙結果の低迷によって、その影響力は大きく低下しました。現在、再建に向けて新たな体制でスタートを切っていますが、その将来は不透明です。今後の動向が注目されます。

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