シェルビン・ハジプール

シェルビン・ハジプール：イランの誇るシンガーソングライター

シェルビン・ハジプール（Shervin Hajipour、1997年3月30日生まれ）は、イランのシンガーソングライターとして知られ、特に社会的なメッセージを込めた音楽で広く認識されています。彼はマーザンダラーン州バボルサールで生まれ、幼少期から音楽に親しみながら育ちました。

早期の音楽活動

ハジプールは8歳からヴァイオリンを学び始め、中等学校では職業的な作曲の技術を磨きました。マーザンダラーン大学では経済学を専攻しつつ、演劇の音楽も手がけるなど、幅広い音楽経験を積んできました。

デビューと「バライェ」の大ヒット

彼の音楽キャリアは2018年に始まり、特に2019年にテレビ番組『New Era』でのパフォーマンスが転機となりました。そこで彼が初めて公開したシングル「Maybe Paradise」は、多くの人々に支持されましたが、その後の「バライェ」は彼の名を広める大きな要因となりました。この曲は、女性の権利を求めるマフサ・アミニ抗議運動の象徴的なアンセムともなり、抗議者たちの心に響きました。

「バライェ」は、彼がInstagramに投稿すると、わずか2日で4000万回以上再生されるなど、瞬時に話題に。抗議活動をサポートするために書かれたこの曲には、「女性、命、自由」というスローガンが取り入れられ、社会的なメッセージを力強く発信しました。

逮捕とその後の影響

2022年、彼は「バライェ」を理由に逮捕され、ソーシャルメディアからこの曲を削除される事件が発生しました。この逮捕は国際的に批判を受け、様々なアーティストが彼を支持する声を上げました。特に、イスラム革命防衛隊が関与する形で彼に対する圧力が強まる中、またしても彼の音楽が注目されました。逮捕後、彼は保釈されるものの、曲が意図せず政治的に利用されたと語り、メディアはその発言が強制された可能性を指摘しました。

その後、彼は2023年のグラミー賞において、新設された社会変化のための最優秀楽曲賞を「バライェ」で受賞しました。授賞式では、ジル・バイデン米国ファースト・レディが彼のメッセージに光を当て、国際的な注目を集めました。また『タイム』誌では、その年の世界で最も影響力のある100人の一人に選ばれるなど、影響力は拡大し続けています。

今後の活動

2024年には、新たな展開が待ち受けています。彼は禁固刑の判決を受け、反米的内容の楽曲を制作するよう命じられていますが、今後の活動がどのように展開するか注視されます。

ハジプールはこれまでに33曲を発表し、サウンドトラックやミュージック・ビデオも手がけており、彼の影響力は音楽界にとどまらず、社会全体に広がっています。これからも彼の音楽とメッセージに注目が集まることでしょう。

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