マーザンダラーン州

マーザンダラーン州

マーザンダラーン州（ペルシア語: استان مازندران‎、ラテン文字転写: Ostān-e Māzandarān）は、イラン北部に広がる地方で、その州都はサーリーです。この地域は23,833平方キロメートルの面積を持ち、2016年の国勢調査時点では328万3582人の人口が居住しています。

歴史

マーザンダラーン州は、古代アケメネス朝の時代にはヒュルカニア地方の一部として統治されていました。しかし、この地の特異な気候や地形のために、古代の考古学的遺跡は少なく、前イスラーム時代の遺物はほとんど残存していません。それにもかかわらず、マーザンダラーンには早くから人々が住んでいた記録があります。この地域は歴史的にさまざまな王朝に支配された経緯があります。

651年、第3代正統カリフウスマーン・イブン・アッファーンの時代には、クーファの総督サアド・イブン・アビー・ワッカースにより、この地域は初めてイスラム勢力に征服されました。その後約100年間、タバリスターン地方はダブワイド朝に支配されましたが、その後ウマイヤ朝やアリー家の子孫による支配を経て、8世紀にはバーワンド朝が成立しました。

その後、タバリスターンでは叛乱が相次ぎ、783年にはヴァンダード・ホルモズがバーワンド朝を建設します。さらに、11世紀のイスラム教シーア派の影響が強まり、アラムート城砦では「暗殺教団」が活動しました。1209年にはホラズム・シャー朝による侵攻がありました。

その後、マーザンダラーンはモンゴル帝国やティムール朝の支配を受け、1596年にはサファヴィー朝に併合されました。1930年代には東洋学者のフレヤ・スタークがこの地域を探査しました。1997年にはゴレスターン州が分割され、新たな州都が設立されました。

地理

マーザンダラーン州はカスピ海の南岸に位置し、北にカスピ海、東にゴレスターン州、西にギーラーン州、南にテヘラン州とセムナーン州と接しています。この州は主に海岸平野と山岳地帯で構成されています。南岸の平野部はアルボルズ山脈に囲まれ、数多くの谷が特徴的です。この山脈は年間を通じて降雪があり、美しい自然景観を形成しています。

行政区分

マーザンダラーン州は、アーモル、バーボル、バーボルサル、ベフシャフルなど、多くの郡（シャフレスターン）に分かれています。

言語と文化

地域の主要な言語はマーザンダラーン語（タバリー語）で、これは古い形態を保っているとされます。また、この地出身の有名な詩人や学者も多く、特に近代イランの詩人ニーマー・ユーシージュが知られています。9世紀には著名な学者アル・タバリーが二人も輩出されています。

経済

マーザンダラーン州の主な産業は農業で、米、果物、茶、綿花などが生産され、カスピ海沿岸のわずかな地域で栽培されています。石油収入による産業も発展しており、食品加工や繊維産業も重要です。また、漁業も盛んで、特にキャビアの生産が知られています。安定した気候と自然の美しさにより、観光地としても人気があります。

高等教育機関

この地域には複数の高等教育機関があり、1979年以降に設立された大学が多いです。主な大学にはバーボル医科大学やマーザンダラーン医科大学があります。また、各種の科学技術に特化した学院も存在します。マーザンダラーン州は、歴史、自然、文化が交錯する地域であり、訪れる人々に多彩な魅力を提供しています。

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