シェレメーチエヴォ国際空港

シェレメーチエヴォ国際空港について

シェレメーチエヴォ国際空港（露: Международный аэропорт Шереметьево）は、モスクワの北西約30kmに位置する、ロシア最大の空港です。モスクワには4つの主要空港がありますが、シェレメーチエヴォはその中でも最大の旅客数と貨物取扱量を誇ります。

アエロフロート・ロシア航空が主要な拠点としており、2019年には作家のアレクサンドル・プーシキンにちなんで改名されました。空港名は「シェレメチェボ」とも表記されます。

歴史

1959年に国際空港として開港し、1980年のモスクワオリンピックに向けて大規模な改修が行われました。しかし、ソ連崩壊後の経済状況悪化により、施設が老朽化し、サービス面でも遅れが見られるようになりました。その結果、2000年代後半には多くの航空会社がより新しいドモジェドヴォ空港へ移転しました。

2000年代後半以降は、空港連絡鉄道の開通、新ターミナルの建設、サービス改善などが行われ、2013年には欧州地区の空港サービス品質賞を受賞するまでに回復しました。2020年代には再び多くの航空会社が乗り入れるようになり、利用客数も増加しましたが、2022年のウクライナ侵攻により、西側諸国の航空会社は運航を停止しています。

開港と初期

1956年、ニキータ・フルシチョフがロンドン訪問時にヒースロー空港に感銘を受け、モスクワにも国際空港建設を命じました。1959年8月11日に空軍飛行場を改修し、国際空港として開港。1960年には東ベルリンとの間に最初の国際線が就航しました。

1960年代にはターミナルビルが建設され、1968年には日本航空も乗り入れを開始しました。1980年のモスクワオリンピック開催に合わせて「シェレメチェボ2」が国際線ターミナルとして供用開始されました。

旧態化と近代化

ソ連崩壊後、空港の旧態化が深刻化し、サービスや施設の質が低下しました。しかし、2000年代に入り、ドモジェドヴォ空港が設備投資を進めて外国航空会社を誘致する一方で、シェレメーチエヴォ空港は遅れをとっていました。2007年以降、ターミナルC、D、Eが建設され、旧ターミナルも改修されました。2018年にはターミナル間の移動を容易にする地下鉄が開通しました。

2019年には3番目の滑走路も完成し、施設は大幅に改善されました。また、空港名には作家のアレクサンドル・プーシキンが冠せられました。

空港ターミナル

現在、空港はAからFまでの6つのターミナルで構成されています。ターミナルAはビジネスターミナル、ターミナルBは国内線専用、ターミナルDはアエロフロートとその提携航空会社専用となっています。ターミナルEは国際線、ターミナルFは国際線および国内線に使用されています。

北側のターミナル（A〜C）と南側のターミナル（D〜F）は、2018年に完成した地下鉄で接続されています。

ターミナル詳細

ターミナルA: ビジネスターミナル
ターミナルB: 国内線、ベラルーシ線
ターミナルC: 新設ターミナル
ターミナルD: アエロフロート、スカイチーム専用
ターミナルE: アエロフロート、スカイチーム国際線
ターミナルF: 主にスカイチーム以外の国際線

アクセス

空港へのアクセスは、アエロエクスプレス（直通列車）、路線バス、マルシュルートカ（乗り合いタクシー）、タクシーが利用できます。

アエロエクスプレス

アエロエクスプレスは、空港駅とモスクワ市内のベラルースキー駅を結ぶ直通列車で、約35分で移動できます。2022年6月には、ターミナルA～Cに隣接するシェレメーチエヴォ空港北駅が開通し、利便性が向上しました。

路線バス

路線バスは、空港と地下鉄駅を結んでおり、約40分から1時間で移動できます。地下鉄と組み合わせることで、市内中心部まで約1時間半以内で行くことができます。

マルシュルートカ、タクシー

マルシュルートカもバスと同じルートを走っており、タクシーはモスクワ市内まで利用できますが、交通渋滞が激しいため、時間に余裕を持って移動する必要があります。

その他

空港では、両替や免税店が利用可能です。ベラルーシは国内線扱いとなり、ロシアへの入国が必要となるため、乗り継ぎの際には注意が必要です。空港周辺にはホテルもいくつかあります。

2022年以降の運航状況

2022年3月以降、西側諸国との航空路線は全便が運航停止となっています。また、ロシア国内線においても、ウクライナ近辺の空港を発着する便が運航停止となっています。

シェレメーチエヴォ国際空港は、その歴史と変遷を経て、これからもモスクワの空の玄関口としての役割を果たしていくことが期待されます。

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