シェローティアの空砦

シェローティアの空砦〜the end of time〜

『シェローティアの空砦〜the end of time〜』（以下、『空砦』）は、テーブルトークRPG『セブン＝フォートレス』シリーズのリプレイ作品です。ゲームマスター（GM）兼リプレイ執筆は菊池たけし氏、イラストはみかきみかこ氏が担当しています。

本作は、『ラ・アルメイアの幻砦』に続く「砦シリーズ」の最終章として発表されました。ルールは第4版にあたる『セブン＝フォートレス メビウス』が使用されています。

概要

『空砦』は、「砦シリーズ」の完結編として位置づけられています。ゲーマーズ・フィールド誌にて2008年から2013年まで連載され、連載期間・文章量ともにシリーズ最長ですが、ゲームプレイ回数は全5回と比較的少なめです。各ゲームプレイが一話分のストーリーとして構成され、全5話で物語が展開されます。ファミ通文庫から全5巻で書籍化されています。

本作は単なるリプレイ作品としてだけでなく、主八界を巻き込んだ次元大戦「第二次古代神戦争」におけるラース＝フェリアでの戦いを描くという側面も持ちます。この戦争の全貌は、『セブン＝フォートレス メビウス』や『ナイトウィザード The 2nd Edition』のサプリメント・リプレイを跨いだ大規模なクロスオーバー展開として描かれています。

ゲームシステムは『メビウス』が採用されており、製品版のルールが忠実に適用されています。連載中にルールバージョンが変更されることもなかったため、ゲームバランスは安定しています。また、シリーズの集大成として、過去の「砦シリーズ」に登場したPC・NPCが多数参戦している点も特徴です。ただし、PCについてはルールやデータが『メビウス』に準拠して再作成されています。リプレイの進行に合わせてサプリメントが供給されるため、キャラクターの能力値やスキル、設定などが変化することもあります。

物語は当初、2つのパーティを交互に操作する形式で進められ、一方のパーティの行動がもう一方のパーティのシナリオに影響を与えるという仕掛けが施されていました。しかし、EPISODE 04からは両パーティが合流し、共に物語を進めるようになります。当初の予定では1巻2話構成でしたが、EPISODE 02のセッション後に1巻1話構成に変更されました。

物語は、『ラ・アルメイアの幻砦』の事件によって世界が闇に包まれた後、『V3』シナリオ集『ラース＝フェリアの嵐』で描かれた事件によってフレイス地方が解放され、人類が反撃の機会を窺っている状況から始まります。他の世界をも巻き込んだ最終戦争の一幕として、PCたちの活躍が描かれていきます。

あらすじ

エピソード01

シェルジュ＝ガェアの死とエルオースの復活により、第一世界ラース＝フェリアは混沌の闇に包まれ、滅びの時を迎えようとしていました。人類の反撃によりフレイス地方が解放されたものの、冥魔の侵攻はいまだ衰えていません。

人類最後の砦であるフレイスにも危機が迫っていました。冥魔王の一人エンダースが、希望を打ち砕くべくフレイスに現れたのです。そんな中、紅き巫女ガーネットは守護者ジュグラットより希望の到来を告げられます。その事実を伝えられた側仕えのリューナ＝セイグラムは、山の向こうに落ちる一条の光を見ました。それはラース＝フェリアの現状に対応すべく、第八世界ファー・ジ・アースの守護者アンゼロットの命で送り込まれて来た魔剣使い、柊蓮司でした。時を同じくして、冥凍気に閉ざされたアルセイルから氷導王の命を受けたディフェス＝サシンが、フォーラ地方から伝説の武具・カニアーマーを持つ記憶喪失の少年シンゴがフレイスを訪れます。

炎砦に集った4人はガーネットの命を受け、フレイスとフォーラの境に建つエンダースの居城・冥界樹攻略に挑みます。

エピソード02

冥界樹陥落からしばらく経ったある日。フォーチューン南東の孤島・スマトラ島に興された街サザンクロスを治めていたファラウスは、自らのクローンを作るなどして未だに世界の破壊を諦めていませんでしたが、その世界を自分より先に滅ぼそうとする冥魔に頭を痛めていました。そんな折、街の住人を追いかけまわしていたアルゲル＝アルガロードと奇妙な出会いを果たし、さらにその住人から、かつて別の自分が失った力……バラーの存在を告げられます。

一方その頃、フォーラ地方はグリューナに近い森の中の家で兄・ヒュウガを介抱しながら時を過ごしていたサシャ＝アライアスのもとにも、フレイスからの援軍要請は届いていました。それも「ヒュウガも参戦せよ」という、廃人同然の彼の現状を敢えて無視した強固な意思と共に。だが、兄妹を乗せてフレイスへと向かわんとする飛空艇が冥魔の襲撃を受けます。それを救ったのは、第五世界エルフレアから帰還した柱の騎士が一人、ザーフィでした。

ヒュウガを炎砦に託し、スマトラ島で邂逅した4人は、1000年前の第二世界エルスゴーラからやってきたという青年シンゴから、彼の操る鋼騎「赤き男爵ヴェイラー」の破壊を頼まれます。ヴェイラーは冥魔に汚染され、人類へのトドメとなりかねない危険な存在と化していたのでした。だが、実はシンゴの正体はヴェイラーからエネルギーを供給される生体パーツであり、ヴェイラーの破壊はシンゴの消滅を意味していました。かといって、ヴェイラーを放置すれば、シンゴもろとも冥魔と化し世界に破滅をもたらすことになります。唯一希望を繋げるのは、ザーフィがエルフレアから持ち帰った「魂の短剣」のみです。

個々の思惑こそ違えど、目的は一つ、ヴェイラーの破壊。多くの危険を抱えたまま、4人は赤き魔神に挑みます。

エピソード03

冥界樹陥落から半年。炎砦に集った面々は、未だ冥魔との戦いを続けていました。その間、各地で次々と冥魔王が打倒され、残る冥魔王は3人となっていました。しかし、事態は急転を告げます。ラース＝フェリアそのものが、冥界へと沈んでいるというのです。しかもその情報をリークしたのは、冥魔陣営の参謀・エレナでした。

事態を重く見た炎導王ラーガ＝ラギアは、ディフェス＝サシンを筆頭とする部隊に、事態の元凶と目される冥龍王クルムクドゥの討伐を命じますが、その矢先、シンゴがフォーチューン戦線で行方不明になるというアクシデントが発生します。

そのシンゴは、海砦近辺の浜辺でヘレネに救われていました。二週間後、その地を襲った冥魔を迎撃していた彼は、情報を聞きつけて捜索に来ていた3人と合流。ヴェイラー攻略から帰還していたサシャ＝アライアス、ザーフィを加え、冥魔王の本拠たる「冥夜館」の攻略に向かいます。だが、そこで待ち受けていたのは予想外の事実でした。

エピソード04

炎導王の命を受け、七宝珠の捜索に向かったシンゴ、ディフェス＝サシン、柊蓮司は過去の時代へ跳んでいきました。また、次元の狭間を彷徨っていたファラウス、アルゲル＝アルガロードと合流し、過去の世界の戦いを横目に着々と宝珠を入手していきます。

その中で明かされた真実とは？ そして、最後の決着の時が迫ります……。

エピソード05

全ての宝珠を揃え、帰還したシンゴ達。ミドリ達と「闇の宗教」の戦いに端を発した、ラース＝フェリア全土を巻き込む最大の戦争……その決着の時が迫っていました。

復活を遂げたヒュウガを加えて一向はエンダースとの戦いに臨むも、予想外の事態により戦いは中断を余儀なくされます。世界各地の「砦」に謎の柱が突き立ち、冥界への沈降を加速させていたのです。この事態を収拾すべく、シンゴ達は各地に散り、かつてこの世界で戦った戦士達に助力を求め、その力を結集して柱の破壊に乗り出します。だが、そんな彼らの前にエンダースが再び現れます。満身創痍となっていた彼に加え、さらにこの事態の真の黒幕たる最後の冥魔王が姿を現しました。

圧倒的な力を誇示する冥魔王に、シンゴ達は最後の戦いを挑みます。今、ラース＝フェリアの命運をかけた、最終決戦の幕が上がります……。

(登場人物・用語は省略します)

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